おはようございます。
Shortmanです。
前週2月14日週の概況:
先週の予想は「109円~117円」と大きく幅を取りました。ドル円の戻りを売りたいと思っていましたが、114円
ドル円は先々週一時110.99円まで下落したが、原油減産に関するニュースがいくつか出たことで原油価格が反転したことや、12日に公表された1月の米小売売上高が予想よりも強かったことを受けて、先週は買い戻しが先行した。日本の第4四半期GDPがマイナス成長を記録したものの、ドル円は15日に114円台を回復した。また、春節明けの中国では人民元相場も大きく反発し、上海総合株価指数の下げ幅もそれほど大きくなく、リスク回避モードに一服感が出たことも株式市場やドル円相場を支援し、ドル円は16日114.87円まで値を伸ばした。
しかし、1月分のFOMCの議事録が公表されると、改めて世界経済の先行き懸念や、金融市場の混乱が意識され、ドル円の上値が重くなり、115円を超えることなく下落に。米国の小売売高は好調な数字を出したが、その他の米国の経済指標、特に製造業の数字が弱いことに加えて、住宅市場関連の数字も冴えないことから、米国債利回りが低下し、ドルを積極的買わない展開となり、結果として円が買われ、ドル円が低下してたようだ。
先週16 日から、いよいよ日銀当座預金の一部に対してマイナス金利の適用が始まった。利回り曲線の低下を目指しての日銀の政策だとは思うが、デフレ環境下では実質金利が高止まりしている可能性があり、円高は止まっていない。
メディアに報じられた産油国の減産に関する報道も、各産油国の思惑が違い過ぎて足並みが揃っていないことで、原油先物価格は先週末にかけて再び1バレル=30ドルを下回ってしまい、相場の重しになっていることや、ECB理事会が3月での追加緩和を示唆しており、ユーロが下落し、ドル円も連れ安な展開なっていおり、ドル円の下落に合わせるかのように株式市場も軟調に推移し、結局ドル円は先週末には112円半ばで取引を終えた。
今週2月21日週の予想レンジ:
110.5 円~115.5円
今週末の26日と27日にに上海にてG20が開催されます。世界経済への先行き懸念や金融市場の混乱、原油価格の低迷など国際協調への期待が高まっており、相場の下支えになっていると思われます。ただ、自国通貨安を各国が望んでいる状況で、国際的な協調を期待するのは難しいと思っています。
FRBは景気の不透明感を理由に利上げに慎重な見方を示し利上げ観測を大きく後退させてドル安誘導、ECBは3月に追加緩和を示唆してユーロ安誘導をしたりと、エゴ丸出しな状況で、日本は量的緩和の拡大も虚しくデフレは一向に解消されず、マイナス金利を導入すればかえって円高になってしまう現状。しかも、3月年度末に向けてそろそろ円転の動きも入ってきており、先週末に公表されたシカゴの投機筋のポジションが7週連続で円買いとなっているなど、円高の圧力は依然として強い。
G20開催まではそこそこ底堅く、終わってみれば世界経済を好転させるだけの策は提示されず、各国のエゴ丸出しで失望売りな展開かなと予想しています。
出処:CFTC, Commitments of Traders
定点観測:
ダウとドル円

ドル円と米2年債利回り

VIX
金価格とドル・インデックス
原油価格とドル・インデックス
全体的にチャートは落ち着いているので、G20待かなと思います。
Shortman’s View:
さて、週報恒例になりつつある「物語」ですが、今回は毒者様から頂いたご質問をベースにして書いてみたいと思います。
全く相場に影響がないかと言えば、ないこともない。しかし、今すぐ影響がでることはない。まるで、福島の原発が事故を起こした時の政府のコメントみたいで恐縮ですが。
先日(2月16日)に長い長いレポートをお送りしました。
内容が無いようなレポートなので(;´д`)、誰も読んでいないかなと思っていましたが、毒者の皆様から嬉しいご質問が届きました。
きちんと読んで頂けていると思うと本当に嬉しいです。ありがとうございます。
さて、今回のご質問は私が5年ほど前に書いた記事の後半部分です。
以下に抜粋して、赤字にしておきました。
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現在、日本の国債の国内消化率は95%前後程度でしょうか。
間も無くそれができなくなる。
昨日の驚かないが当然の日本国債格付け引下げ見通しのニュース。
ロイター 日本のソブリン格付けを引き下げ方向で見直し=ムーディーズ
今さら痔ろうです(笑)。
漢字が違います。
だから日本国債のCDSはほぼ変化なし。
既に市場は織り込み済み。
当然にこれで円高のままのはずがない。
しかし、国債格下げで金融機関のリスク許容度は下がるであろう。
そして、日本の金融機関は日本国債を引き受ける余力が無くなる。
そうなれば外国からファイナンスを受けざるを得ない。
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ここの部分がわかりませんということです。
これを書いた時は5年前ですので、当時そんなことが今すぐに起きるなんて考えてもいませんでしたが、必ず将来そうなるという確信はございました。
情報の中にこの先に起こり得ることが見えてくることがあります。
私の物の見方は本流ではないので、「お前は馬鹿か」とか、「変わっている」とか、多くの人に言われます。
私が考えていることで誰かに迷惑を掛けている訳ではないので、考えを修正することはありません。
ただ、時間の経過と共に私が数年前に語った方向へ時代が付いてくるケースが多く、「あの時にお前が言っていたようになったな・・・」とよく言われます。
今回も似たような展開になってきております。
どこから皆さんの説明したら良いのかなと思いましたが、基本的な情報から始めないとしょうがないかなと。
まず、日本国債の国内消化率はどれくらいなのかを調べましょう。
発行済の日本国債の内、外国人(法人)が保有している割合を除いた割合は、2015年12月17日に日本銀行が公表した最新の資金循環統計(「主要部門・取引項目残高表」)に記載されている数値をベースに計算すると、94.9%となっています(国債・財融債898.5兆円の内、海外部門は45.7兆円で5.09%を保有しています)。
※「国債・財政投融資債」以外に「国庫短期証券」(償還期間が1年未満の短期債)も含めると、政府債務の合計額は1,039.9兆円となり、国内消化率は90.2%(海外部門は9.8%)となっています。
※財務省が昨年12月に公表した最新の「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(平成27年12月末現在)」によると、国債と借入金、政府短期証券の合計額は、2015年12月末時点で1,044兆5,904億円(内国債は約902兆円)です。
※この古い記事を私が書いていた5年前は、日本銀行はまだ日本国債の最大の保有者でありませんでした。それが今では(2015年7月末現在)1,039兆9,024億円の内、日本銀行が315兆円(30.3%)、次に銀行等が296兆円(28.4%)、生損保等199兆円(19.1%)と続いておりまして、なんと日本銀行が第一位の保有者なんですよ。FRBでさえ、米国債の12%だと言うのに・・・(逆に考えると、世界に先駆けて量的緩和を行い、日本政府の債務の30%を中央銀行である日銀がBSをパンパンに膨らませているのに、デフレから脱却できないという現実を世界は知るべきで。また、黒田日銀総裁も、岩田日銀副総裁も正確に理解した方が良いですね)。ですので、日銀が最大の保有者になることは前提にしていなかった時の記事です。
一方で、対外純債務国である米国ですが、公的債務は18兆ドル(2,000兆円)もあります。米国の公的債務残高の約65.6%は、米国内で保有されています。大きな内訳としては、社会保障信託基金16%、政府機関13%、FRB12%・・・という具合で、それ以外の34.4%を外国が保有している計算になります。その金額は6.16兆ドル(約700兆円)です。
米国財務省が公表している米国債国別保有残高によると、昨年12月現在で1位中国1.25兆ドル、2位日本1.12兆ドルとこの二つの国で、米国の対外債務の約40%を保有している計算になりますが、全体の18兆ドルで見ると約13%です。
単純に政府債務に関する日米比較をしてみましょう。
日本国債の外国人保有者の割合は約5%で金額は45.7兆円、一方米国債の外国人保有者の割合は約34%で、金額は円換算で約700兆円です。
この数字だけ見ると、日本が仮にデフォルトしても外国の誰かに迷惑をかける訳でも無さそうだなということは理解して頂けると思います。どちらかと言えば米国の方が迷惑を掛けそうですが、迷惑を及ぼす相手が中国と、敗戦国日本なので何も言えません。
※しかし、後述しますが、何故か格付会社は日本国債の格付けを下げていきます。
次に、国債から話題を変えて銀行の話に移ります。
世の中はグローバル経済です。鎖国でもしていれば話は別ですが、東洋のガラパコスとは言え、国際取引は非常に多いのが日本です。輸入もするし、輸出もするしと。題になってくるのが、国際的な取引の決済を行う金融機関です。つまり、銀行です。
ここから国際金融制度の話、BIS規制(バーゼル合意)に関連してきます。
BIS規制は、国際業務を行う銀行の自己資本比率に関する国際統一基準のことで、これがわからない人は、日本銀行「バーゼル合意、バーゼルI、II、IIIとは何ですか? いわゆるBIS規制とは何ですか?」を参照ください。
※過去この制度が変わる度に、日本経済はドタバタしてしまいました。
皆様の中にも「銀行の自己資本比率」の記事を新聞などで読んだことも多いでしょう(ちなみに私は大学時代から新聞を定期的に購読したことが一度もないです。情報配信会社の記事の方が時間的に早いし、頭の悪い新聞記者の恣意的な情報に左右されないから、自分でその記事の内容を判断できる人には、新聞はただの「ノイズ」です)。何のことだ?と思う方々も多く、基本的に知らなくても全く問題ない知識ですが、金融資産を増やしたい方は知識程度に知っておいても損はないと思います。
国際的な金融取引を行う銀行が破綻したりすると、決済等に支障をきたすことが考えられます。そうならないように、国際取引を行う銀行には、BIS規制の基準を満たす自己資本比率が求められている訳です。ところが銀行の保有する資産にはリスクのある資産もありますので、BIS規制のルールに従ってリスク資産の評価を組み込んで自己資本比率を計算しなければならないという訳です。
さて、ではどういうリスクの評価がされるのか具体的に見てみましょう。日本国債とBIS規制の関係を理解しようと思うなら、このレポートが簡潔にまとまっているので、ちょっと専門的かも知れませんが、参考にしてください。
さて、このリサーチ・ペーパーの中に国債のリスク評価に対してこう説明されています。
・バーゼル規制の標準的手法では国債について「AA-」「Aa3」は、まだリスク・ウエイト0%の水準だが、すぐ下の「A+」「A1」では20%となる。銀行等向け債権も、ソブリンに連動させる方法を採用している国・地域(わが国も含む)の場合は、リスク・ウエイトは50%となる。
・ただし、わが国の銀行等が保有する場合、円建て国債のリスク・ウエイトは格付に関係なく0%
簡単に言うと、日本の銀行が日本国債を保有している場合、日本の銀行が保有する日本国債のリスク評価はゼロ(無リスク)ということ。
そんな馬鹿な!
と思うかも知れませんが、これが国際ルールなんです。
なんでもありですね!
ところが昨年9月にS&Pが突然日本国債を格下げしましたが、日本国債の格付けはというと、こんな感じです。
S&P「A+」
Moody’s「A1」
どちらも、「信用リスクが低い(信用力あり)」ということです。ちなみに韓国や中国の方が格付けが上です。
※正直、格付会社には全く優秀な専門家がいないので、格付会社のルール通りにするとこうなるのかも知れません。そもそも経常収支が赤字で、対外純債務国である米国が、経常収支が黒字で、対外純債権国である日本より格付けが高いとか、外資系格付会社の評価基準は正直正当性を欠いているし、かなり信ぴょう性が乏しいと思います。穿った見方をするならば、空売りしている日本国債を大暴落させて大儲けしたいと思っているヘッジファンドと外資系格付会社が組んでいるのかな?と思ってしまいます。しかし、こんだけ格下げされてもリスク回避モードにになるとどんどん円高になってしまう「日本円」を見てれば、いかにS&PとかMoody’sの格付けが当てにならないかわかると思います。
さて、国際取引を行う銀行が外国債を保有している場合、その国債の格付によりリスクを評価して、自己資本に組み入れないといけない訳です。今、日本国債の格付けはS&P「A+」、Moody’s「A1」なので、銀行はリスク・ウエイトを20%として計算しなければならないはずですが、日本の銀行が日本の国債を保有する場合は、格付けに関係なくリスク・ウエイトは0%になってしまう訳です。
つまり、現行のBIS規制の下では、どんだけ日本国債が格下げされても、日本の銀行はBIS規制で求められている自己資本比率には全く影響がないのです。
私が5年前に『しかし、国債格下げで金融機関のリスク許容度は下がるであろう。そして、日本の金融機関は日本国債を引き受ける余力が無くなる。そうなれば外国からファイナンスを受けざるを得ない。』と主張していますが、現行のBIS規制の下では、そうではないということになります。
確かに現行のルールでは問題ないですが、私は今の話をしていた訳ではなく、将来の話をしています。例えば南欧のPIGSのギリシャですが、実質デフォルトしている訳です。しかし、ギリシャの銀行がギリシャ国債を保有していれば無リスク評価ってのは、どう考えたって直感的におかしいでしょう。だから私はこのBIS規制のルールは、早晩リスク評価の対象となると予測していた訳です。
そして、最近は私の予測に時代が追いつきつつあります。
国際的な国債のリスク評価に関する基準の変更に関して、最初にリークされたのは一昨年と思われます。
2014年7月にWSJが報じた記事です。
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国際的な銀行規制を策定するバーゼル銀行監督委員会は、銀行に保有資産のリスクを低く申告できないようにする措置を検討中だ。全ての国債を一括して「リスクなし」とする従来の慣行も見直している。事情を知る複数の関係者が明らかにした。
検討に上っているこれらの規制変更が実現すれば、銀行は数十億ドル単位の資本増強に迫られる恐れがある。
複数の関係者によると、バーゼル委員会は資産のリスク評価で銀行自らの裁量余地を狭める方向だ。保有資産のリスクの程度は、各行が備えるべき自己資本の規模を大きく左右する。一部の銀行はこれまで、特定の種類の資産のリスク評価を極めて低く見積もることで必要とされる自己資本を抑制してきたが、今後はこうした対応を不可能にする狙いがある。
今回の変更では、国債のリスク評価と各行の裁量という、銀行会計の中で最も議論を呼んだ2つの分野に対処する。ギリシャは実質的にデフォルト(債務不履行)し、投資家はいまだに一部のユーロ圏国債を高リスクだと扱っている。それでも銀行会計ではあらゆる国債がノーリスクで、債務危機の最中には物笑いの種になった。
さらに、銀行は保有資産のリスクを自らの裁量で評価できる。このため投資家の間には、自己資本比率が財務健全性の指標として信頼できないとの認識がある。
将来的に発生するかもしれない損失の吸収能力を測る主な尺度には、「リスク加重」資産に対する自己資本の割合が使われる。従って保有資産のリスクが低ければ必要な自己資本も少なくて済み、銀行は保有債権や証券のリスクをできるだけ低く見積もりがちになる。
複数の関係者によると、バーゼル委は国債のリスク評価について従来の方針を撤回し、その他の資産と同様にソブリンリスクの個別審査を義務付けることを検討している。ただ協議は初期段階にあり、実際には導入に至らない可能性もある。
実現の公算がより大きいのは、特定の資産ごとにリスクウエートの下限を定める方法で、11月に公表される提案に盛り込まれそうだという。
規制面の恩恵にも後押しされ、欧州の銀行は自国国債の主な買い手となっている。欧州中央銀行(ECB)がまとめたユーロ圏の銀行の国債保有残高は5月時点で1兆8000億ユーロ(約250兆円)と、保有資産全体の6%近くを占める。歴史的に政府のデフォルトが起きるのは極めてまれだが、リスクなしという想定の妥当性は欧州債務危機で大きく揺らいだ。
バーゼル委に近い関係者の1人は、リスク加重方法の監視を強めれば銀行業界が自主的に慣行をあらためるとの期待があったが、実際にそうはならなかったと、今回の検討の背景を説明した。
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ほらほら、5年前に私が予想したような展開になってきましたね。(๑˃̵ᴗ˂̵)و ヨシ!
そして、昨年3月にようやく日経が取り上げました。
日本経済新聞 「銀行、国債保有なら資本増強を」 バーゼル委、新たな規制案(2015年3月10日)
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世界の金融当局者でつくるバーゼル銀行監督委員会で、銀行が保有する金利商品に追加で自己資本の積み増しを求める案が議論されている。金利の急上昇(価格の急落)リスクに備える新たな枠組みで、導入されれば国債や長期固定の住宅ローンを多く抱える邦銀は資本の積み増しを迫られる。資本増強の代わりに保有国債を売却すれば長期金利の急上昇を招く恐れもあり、メガバンクなどは議論の行方に警戒感を強めている。
バーゼル委は導入の是非について月内にも方向性を決める意向だ。金利上昇リスクを警戒する英国やドイツの主導で進めてきたが、日米両国は強く反対しており、議論は難航しそうだ。
バーゼル委は2年ほど前に作業部会に対し、銀行の自己資本比率規制の中で「保有資産の金利リスク」に備えた新たな規制をつくるように指示していた。3月中に協議案を公表する意向だが、日米や南欧諸国が数値基準を義務づける「規制案」に強く反対。各国当局が実態に応じて監督を強化する「監督案」にとどめたり、公表を見送って協議を続けたりする可能性も残っている。
英独が主張する規制案は、銀行の保有資産の価格が金利上昇で下落した場合に備え、あらかじめ保険として自己資本を積み増すものだ。例えば金利が2%上昇した際に発生する損失額をその資産の「リスク量」として計算し、リスク量に見合う金額を資本に上乗せする案などがある。
一律に数値基準を義務づければ、銀行は保有資産を圧縮するか、資本を増強するかの方法で基準の達成を迫られる。実施時期まで余裕があれば段階的に対応できるが、準備期間が足りなければ国債市場などに影響を及ぼす可能性がある。
日本が反対するのは、邦銀が多額の国債を資産として保有しているためだ。邦銀が持つ日本国債(1月時点)は約128兆円。日銀の国債買い入れの影響で2年前から約35兆円減ったが、総資産の13%に上る。米国も国債に加え、政府機関債や地方債の保有が多い。米商業銀行の総資産に占める割合は日本とほぼ同じ14%で、大手のウェルズ・ファーゴは12%だ。
一方、規制の導入を推進する英独の銀行は4%台にとどまる。多額の資産を保有していない投資銀行は大きな影響を受けないとされる。
多くの商業銀行が金利リスクにさらされているのは事実だ。日銀が昨年6月の邦銀の運用状況を基に試算したところ、金利が2%上昇すると、邦銀全体で10兆円の含み損を抱えるという。国債だけでなく、貸出金利を30年固定するような長期の住宅ローンも金利リスクを抱えるため、個人の住宅購入にも悪影響を及ぼす可能性がある。
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日本国債がリスクアセットになってしまう可能性が高まりつつあります。
昨年6月には再度この件で記事が出ています。
日本経済新聞 銀行の国債保有に新規制 バーゼル委、結論16年に(2015年6月9日)
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主要国の銀行が加盟するバーゼル銀行監督委員会は8日、銀行が保有する国債などの金利関連商品に導入する新規制案を発表した。金利上昇リスクに応じ、資本を積み増す共通ルールを導入する案と、金融当局に行政処分などを含む監督権限を与える案の2つを提示。2016年に結論を持ち越し、19年以降に適用する。
金融機関の国際ルールであるバーゼル規制の見直しの一環。新しい規制は市場金利が急上昇(価格が急落)した際に、銀行が保有する国債や住宅ローン商品などの資産価値が下がり、経営に悪影響を及ぼすリスクを監視する狙いがある。外国債も含め、あらゆる金利商品を対象にする。
欧州が主導してきた第1案の金利リスクを反映する共通ルールの導入では、各国の金利動向に応じて基準を変える。日本などの低金利国は金利が1%上昇するリスクを計算し、必要な資本を積み増す。一方、ギリシャなどの高金利国は金利が3%上昇するリスクを計算する。日銀の試算では、金利が1%上がると、邦銀が持つ債券の価値は約5.5兆円下がる。
一方、日米が支持する第2案の金融当局による監督権限の強化は、数値に基づく機械的な資本の積み増しを求めない比較的柔軟な規制だ。当局が銀行に金利リスクの開示を求め、必要ならば資本増強の勧告や行政処分を出せるようにする。
バーゼル委は加盟国の銀行に対し、9月上旬まで意見を求める。それを踏まえて16年にも新規制を固め、19年以降に適用する方針だ。
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ようやく時代が私に追いついてきました。
あれ、新ルールが決まるのは2016年だから、今年ではないか!
① 金利上昇リスクに応じて資本を積み増す共通ルールを導入する案(独・英国)
② 金融当局に行政処分などを含む監督権限を与える案(日・米)
仮に①案が採用されると、日本の銀行は日本国債をリスク資産として計算し直さないといけない。そうなった場合、日本の銀行は自己資本を積み増しする必要がある。また、格下された日本国債を売却する可能性が高まってくる。こうなると、債券価格は暴落して、国債の利回りが急上昇してしまう危険性を孕んでいるので、日米は①に反対している。
これは非常に大きな問題です。
量的緩和の出口戦略でも日本銀行が大量に抱える日本国債の扱いを間違えると、金利が上昇するリスクが問題視されている。それに加えて、BIS規制で日本の銀行が保有する日本国債のリスク評価が厳しくなるとすると、さらに日本国債に下押し圧力が加わり、金利が上昇圧力が増してしまう。そうならないようにするために、誰かに日本国債を買ってもらわないといけなくなります。
さて誰が買う?
日本国債の新たな買い手を以下のお金持ちから三択でどうぞ。
① 家計(預金)
② 日本銀行
③ 中国(外国)
どれかはわからないけど、誰かに買ってもらわないと日本国債は暴落してしまう。
5年前は①の家計は最終手段に残しておいて、③中国かなと思っていました。
しかし、最近では②が本命かなと思っています。
仮にこの新BIS規制が適用されたとして、国債の格付けに応じてリスク計算をし直して自己資本を積み直せということになったとした場合、日本の民間銀行は、格付の低い日本国債を売却して、リスク・ウエイトがゼロの外国債を保有する可能性が高まります。
一方で、インフレ効果や景気回復効果がないことがわかっていますが、日本銀行は日本国債を銀行から買い上げ続けており(毎年新規枠80兆円)、とうとう日本銀行が315兆円(30.3%)もの日本国債を抱えている状態に陥っている。
日銀券ルールを変更して量的緩和を拡大させただけでなく、最近ではデフレ解消の為に国債引受の市中消化の原則さえも無くして、日銀直接引受までさせようとする勢力がいて非常に危険だなと思います。そんなご時世の今年に、新しいBIS規制のルールが決まり、欧州型のリスク評価方法が採用されると、日本国債の暴落を避ける為に、日本銀行が国債の購入枠を現行の80兆円から拡大させて、日銀が買いオペで日本国債を買い続ければ全く問題ない!なんて意見が聞こえてきそうです。
今週もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
Good Duck!
Shortman
注意:
投資は自己責任です。読者の投資判断の最終決定に、我々は一切関与しません。この情報を用いて読者の方が損失を被っても、我々は一切の責任を負いません。我々はNY市場が世界の金融市場の未来を決めていると考え、NY市場を中心に分析しております。我々が用いるデータ、チャート、ニュースは、誰でもインターネットで無料で用いることができるものだけを利用して、できるだけ正確に理解し、できるだけ簡潔に、かつ、わかりやすく皆様に伝えられるように心がけております。また、個別株の分析は行いません。先物(株価指数・為替・商品・一部オプション)のトレードに必要な情報のみ提供しています。