おはようございます。
Shortmanです。
10月は前半から中国経済の景気低迷からじりじりと円高に向かう展開でしたが、その後欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が追加緩和を示唆したことから、株価が戻り円安へ。そして、米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内12月のFRBによる米利上げの可能性が出てきたことで、相場が乱交げした後に円売・ドル買いの流れとなってしまいました。10月のレンジは118.054円~121.491円でした。
中国経済の景気低迷は深刻化しています。それに伴い、中国への輸出依存度が高い欧州経済も景気は間違いなく悪化している状況で、米国が利上げに踏み切ると世界経済はどうなるであろうか?
考えただけでも面白いです。
次に米国が利上げに踏み切ると株価が下落することは間違いないでしょう。また、不動産価格も下落をはじめるであろう。米国は歴史伝統的にインフレを嫌いますが、インフレの兆候はFOMCのメンバーが意識するほど出ていないと個人的には思っています。
日本は黒田日銀総裁と岩田副総裁がインフ目標を導入しましたが、つい先日もインフレ目標到達までの期間がさらに延長されました。予想以上に原油価格が下落したことによる影響が大きいと言い訳をしておりましたが、中国経済が悪化すれば当然資源価格が下落することは自明な訳です。エリート日銀がまさか中国経済が永遠に右肩上がりで行くと思ってインフレ目標を定めたのか?と笑ってしまった。
しかし、利上げが行われた場合、どの程度まで円安が進行するのであろうか。ドル高円安に向かった後はどうなるのであろうか?ということが大事です。
過去を調べてみると、1995年4月~1998年8月にかけての3年4ヶ月で、ドル円は79.75円から147.71円まで約68円も円安が進行しました。今回は2012年1月に76.16円から2015年6月に125.84円まで約50円円安が進行しました。現在は当時より各国伴い債務が増加していますので、円高地合いが強いと考えられます。
よって私は相場的にはこの水準が天井近くではないかなと考えております。
では仮にFRBが利上げに舵を切ればどうなるでしょうか?
利上げに伴い株価が下落を始め、不動産価格も下落して、不良債権の山が再び積み上がり、信用収縮が加速度的に膨らんで、米国経済は急減速する可能性が強いでしょう。さらには、中国初の世界景気の低迷から資源価格に上昇は見られず、再びデフレが進行して、日本がこの30年苦しんでいる状態に陥るでしょう。
米国以外の国では、世界経済を牽引していた中国の輸出が伸び悩み、景気は一段悪化する可能性が強いでしょう。中国の経済統計は既に「嘘」だと露呈しており、景気回復の兆しが全く見れない状況で、人民元が世界的な信用を得ることができないまま、中国が人民元の国際化を目指せば、人民元高を容認することにほかならず、中国の輸出はさらに伸び悩むことでしょう。中国経済の悪化はそのまま欧州経済に飛び火して、世界経済は壊滅的な影響を受けるでしょう。
つまり、世界恐慌の本格的なスイッチがもしかしたら入るかもしれない。
まぁ、こんなような記事が経済雑誌の紙面を賑わしそうな感じがします(笑)。
11月の予想レンジは119円~125円程度。珍しく円安予想です。12月のFOMCでの利上げ期待で円売り・ドル買いの流れが継続と見ております。
今月も宜しくお願い申し上げます。
11月の私の予想レンジは、119円~125円程度と円安です。
では、今週の予想をしましょう。
前11月15日週の概況:
前週は前々週13日の金曜日にパリで起きた同時多発テロの影響が大きく、週初めはリスク回避の円買いで始まった。ユーロの売りにつられて、ドル円は1ドル=122.22円と安値をつけた。その後、テロの影響が限定的との見方が広まり、ユーロは買い戻しの流れとなり、ドル円も123円台を回復。欧州の主要株価指数が前週末よりも小幅ながら上昇し、米労働省が17日に発表した10月の米消費者物価指数も予想を上回った結果、FRBが12月にも利上げを実施するとの期待が高まり、ドル円は123円台後半まで値を伸ばした。
ドル円(日足)
ドル円は米国の利上期待とユーロ安につられて底固い展開か。とは思いつつも、買い材料もないな。
ユーロドル(日足)
ドラギECB総裁の追加緩和を示唆する発言を受けて下落基調(ドル買い要因)。
さらに、19日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(10 月27~28 日開催分)で、参加者の多くが利上げ開始の条件が整った、あるいは、次回12 月の会合までに整うとの見解で一致したことが明らかになり、ドル円は12 月の利上げ開始を織り込み、前週の高値123.74円をつけた。しかし、FOMCの議事録の文面でgradual(年3~4回)が、shallow(年2回程度)に変更されたことで、米国の利上げペースがかなり緩やかになるだろうとの見方が広まり、さらには、日本の貿易統計が7ヶ月ぶりに黒字に転換したことなどから、ドルは売り戻されて、一時1ドル=122.62円まで下落する場面が見られた。
その後、さらには、20日にはドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁がフランクフルトで行った講演で、「目標を達成する上で現在の政策が十分 でないと判断すれば、インフレ率をできるだけ早急に引き上げるためやるべきことをやる」と表明したことを受けて、12月3日に行われるECB理事会で、追加の金融刺激策を講じる可能性があることから、ユーロが主要通貨に対して下落、取引終盤にはユーロドルは1.064を切る場面も見られた。こうした対ユーロでのドルの買戻しの影響で、ドル円は123円台で取引を終えた。
今週の予想:
1ドル=122.20円~124.20円
まず、19日に財務省から公表された貿易統計で、日本は1,115億円の黒字となり、実に7ヶ月ぶりの黒字を記録したことが公表された(円買要因)が、一方で18日・19日に行われた日銀の金融政策決定会合で、「マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。」と現状維持(円安要因)となり、追加緩和は温存されている。ただ、日本経済は景気回復しておらず、消費者物価指数も伸びないままの状態。マクロ的には円を積極的に買う要因はないと思われます。
しかし、米国の12月の利上げは市場は既に折込済で、これ自体は日米金利差を考えるとドル買い要因だが、今回のFOMCでの文面でgradual(年3~4回)が、shallow(年2回程度)に変更されただけで、ドル売りとなったことを考えると、市場の焦点は既に利上げのペースに移行しつつあり、来月のFOMC次第では市場はドル売りに傾く可能性も否定出来なし。ただ、米消費者物価指数も、10月は小幅ながら3カ月ぶりの上昇となったなり、物価上昇圧力が依然として極めて弱い様子を浮き彫りにしており、市場は既に折込済で、米国株式も堅調に見える(見えるのは今だけかも・・・)。ユーロの追加緩和も来月には想定され、新興市場の景気は悪く、商品市場は下落基調のままで相場は読み難いが、ドル円はある程度のレンジで、底固い展開ではないかと予想しています。
大きくドル買いを継続する強い理由は見当たらなかった。
参考チャート:
ダウとドル円
ダウの上ヒゲが気になるが、まだ上値の余地はあり、それにつられてドル円も上昇するかも知れない。
米2年債利回りとドル円
米2年債利回りと乖離幅が拡大している。ドル円が上昇して乖離幅を埋めるか、2年債利回りが下がって(株安・債券高)になって調整するしかないが、目先は前者の可能性が高いかも知れない。
今週もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
Shosrtman