おはようございます。
Shortmanです。
ゲーム論的に考えましょうといつも書いています。
キーは誰か?
トランプ大統領の安全保障政策、通商政策がメディアを賑わせましたが、これらをまとめ考えているブレーンがいます。
では問題です。
「トランプ大統領の政策は誰の意見をより多く反映しているのか?」
答えはアメリカ合衆国首席戦略官・大統領上級顧問のスティーブン・バノン氏だと私は考えている。
果たしてどうであろうか?
さて、週末の記事。誰も気にしない記事。目先の相場には関係なさそうな記事だから恐らくここの読者や生徒も気にもしていない記事。
しかし、私には見過すことのできない記事。
Bloomberg, トランプ米大統領の政策、メディアが強く反対-バノン首席戦略官
『ホワイトハウスのバノン首席戦略官は選挙戦さなかの昨年8月にトランプ陣営入りしてから初めて公の場で発言し、「毎日が闘いになるだろう」と述べ、「企業ありき、グローバル化ありきのメディアがトランプ大統領が持つような経済ナショナリスト的アジェンダにかたくなに反対している」と主張した。』
まぁ、これは選挙戦の時から想像していたことなので、無意味です。。
私が注目しているのはここではないですが、その一言を見た瞬間に、「とうとう出たぞ本音が」と思いました。
昨年から何度となく私が書いてきたことを一部抜粋します。
もちろん最初は私個人の願望であったと思います。
2016年11月9日の為替日報:
『トランプ氏は既得権益を享受している勢力に暗殺される危険性が高いと思っているので、それが一番心配ですが、この選挙の勢いのまま、アメリカにかつてはあった開拓者精神を復活させ、既得権益の上で胡坐をかいて利益を享受している連中を排除し、既存の政治経済システムを創造的破壊へと導き、新たな世界と秩序を創り出して欲しいと期待しております。』
しかし、選挙後新年を迎えると、個人的な期待もそうですが、そうした期待を抱いている人々が実は世界には半数近くもいることを知ると、だんだん期待が確信へと変わってきました。
2017年1月9日「2017年 ドル円予想(はよそう!・・・寒っ)」
『「このお爺さんは世界のシステムを崩壊させるかも知れない」と。
それが良いことなのか、悪いことなのか、私には判断できません。単なる好奇心ですが、私もまた日本の政治、経済、行政、財界、教育、全ての制度が時代に対応できていないと考えている人間なので、トランプ氏のような私利私欲の塊のような人材が、アメリカ大統領に就任すれば、アメリカ発で世界の制度が大きく変わると期待しているのは事実です。
ある意味で、毒を持って毒を制す的な。』
『トランプ氏の次期大統領への就任は、世界の政治・経済システムを根底から破壊する可能性が高いと私は考えており、こうした最初の第一歩の年が今年であろうと思っています。トランプ氏の財政政策への期待は決して間違ったことではないですが、一方で彼が発信し続けるアメリカ保護主義的な情報は、確実に世界経済を委縮させることに繋がります。』
そして、この記事の最後の一文を読んで確信しました。
『プリ-バス氏は、トランプ政権のゴールの1つは「行政国家の解体」だと語った。』
私はトランプ氏と同様にメディアを信用するなといつも書いてきましたが、この日本語記事も元データにアクセスすると、ミスがわかります。参考までに英語の記事を掲載しておきます(プリ-バス氏は同席してましたが、この発言したのはバロン紙です)。
Bloomberg, Bannon Rallies Conservatives for ‘Economic Nationalist Agenda’
『“If you think they will give you your country back without a fight, you are sadly mistaken,” Bannon said. “Every day it will be a fight, and that is when I am proudest of Donald Trump.” He added that, among the goals of the Trump presidency, is “deconstruction of the administrative state.”』
より正確に読みたい人はこちらを。
Washington Post, Stephen Bannon’s nationalist call to arms, annotated
『BANNON: I think the — I think the same thing; I think if you look at the lines of work, I kind of break it up into three verticals of three buckets. The first is kind of national security and sovereignty, and that’s your intelligence, the Defense Department, Homeland Security.
The second line of work is what I refer to as economic nationalism, and that is Wilbur Ross at Commerce, Steven Mnuchin at Treasury, Lighthizer at — at Trade, Peter Navarro, Stephen Miller, these people that are rethinking how we’re gonna reconstruct the — our trade arrangements around the world.
The third, broadly, line of work is what is deconstruction of the administrative state. And if you…』
そして、この先にどんなことがあるのかを案が得たい人はこちらを。
嘘か誠か知らないが、バノン氏は米国の歴史は80年ごとに危機のサイクルを迎える風に考えているらしい。
バノン氏のバイブル的な本がこれと言われている。
The Fourth Turning: What the Cycles of History Tell Us About America’s Next Rendezvous with Destiny
新しい時代は2020年~2015年に来るらしい。その前は冬の時代だそうだ。
Big Shortの時代はすぐそこ(^_-)
2017年2月20日週の概況:
週初はFRB高官の発言もあり利上げ期待を背景にドル円は113.78円前後まで上昇。しかし、フランス大統領選を巡る懸念からドル円は112円台へ下落した。しかし、1月31日・2月1日開催分の米FOMC議事録が公表され、景気が見込み通りなら早期に利上げの可能性があるとの見解が示されていたことから、ドル円は113.72円まで回復。しかし、FOMCメンバーがインフレ・リスクは無いが、ドル高の下振れリスクを警戒していることがわかり、再び売り込まれ112円台へ反落した。ムニューチン米財務長官とのインタビュー記事を掲載し、その中で「長期的にはドルが上昇すると見込まれる」との発言があり、113円台を回復したが、その翌日にはムニューチン米財務長官が、低金利が続く可能性とドル高にはいくらか問題があるという発言をしたことから、ドル売りに。その翌日23日には、ムニューチン米財務長官が、低金利が続く可能性とドル高にはいくらか問題があると発言したことや、新政策による2017年の影響は限定的と指摘したことで、トランプ大統領の財政政策への過度の期待が解消して、ドル売りになり、24日金曜日には一時111.91円まで下落する場面もあった。
今週の予想レンジ:
110円~114円
2017年2月27日週の予想:
イベント的には先週の予想とあまり変わりません。トランプ米大統領が2月28日に上下両院で演説するので、それまでは基本的に先週同様にレンジ相場を想定しています。また、トランプ大統領の演説を前に、減税策が公表される可能性があり、その内容次第でドル円相場は上か(円安)か、下か(円高)がはっきりしてくると予想しております。しかし、先週ムニューチン米財務長官が新政策による2017年の影響は限定的と示唆したこともあり、政策を織り込んで勝手にバブル化していた株式市場、がネガティブに反応すると、円高が進行するかも知れないので要注意。
定点観測:
ダウとドル円
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ドル円と米2年債利回り
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ドル・インデックスと米10年債利回り
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VIX
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金価格
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原油価格
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Shortman’s View:
3月に入ったら長期のドル円の瓜(売り)を仕込もうかなと思っていますが、なんか円高へつるつると滑ってきてしまいましたね。
先週金曜日にも書きましたが、私は今のところこう思っています。
「トランプ大統領は彼の発言から政策への期待が高く、株価はバブル状態です。今月28日に米議会両院でトランプ大統領の発言があるのですが、その辺から流れが変わるかも知れません。」
とにかく今週は28日に米議会上下両院で行われるトランプ大統領の演説を待つしかないですので、それまでは勝手な思い込みでポジションを構えるのは控えておこうと思います。
参考までに、先日2017年2月14日の為替日報に記載した内容を再掲しておきます。
***************
さて、今年に入ってから一貫して私が注目して待っているのは、トランプ大統領が打ち出す「減税策」と「インフラ投資」の内容です。
大統領選の時にトランプ大統領が打ち出した注目すべき減税案は、大きく分けて以下の内容かなと。
① 法人税減税 ⇒ 税率を35%から15%に引き下げ
② 個人所得税減税 ⇒ 所得税の累進区分についても、現行7区分を3区分(累進税率を12%、25%、33%)へ(特に最高税率は現行の39.6%から33%に引き下げ)
これに加えて、配当及びキャピタルゲイン課税の減税延長、相続税の廃止、米企業の海外留保利益について税率10%のみなし課税等を提案している。
基本的には小さな政府が好きな共和党なので、減税は理解できます。
問題はこの事前に打ち出した公約通りかそれ以上ならドル買い。それ未満ならドル買い需要は期待が薄いかなと考えております。先日の記事だと、法人税率は20%程度のような内容が漏れ伝わっています。
それと、金額ベースでは向こう10年間で5兆ドル規模が想定されているので、年間でGDPの約3%位の金額が減税に回されるので、2018年以降はそれなりの景気浮揚効果が見込まれるかなと思います(それにしても株高は行き過ぎな感じを受けるけど…)。
***************』
どちらに転んでもドル売りになる危険性があるので、気を付けましょう。また、瓜でも下がりだしてから大波に乗れば間に合うので、慌てずに行きましょう。
それと、あまりメディアが報じないのですが、来月3月15日までに米国の連邦債務の上限を引き上げないとアメリカ政府がデフォルトする可能性があるので、要注意です。
米国の連邦債務は約20兆ドル(約2,200兆円)です。トランプ政権が減税が向こう10年で約5兆ドル(550兆円)を計画しており、年間では50億ドル(約5,500億円)の税収減となります。そして、トランプ大統領はインフラ投資を向こう10年間で1兆ドル実施するということだから、1年に約10億ドル(1,000億円)の支出増加になります。そうすると、少なくとも2017年~2018年の財政予算はその分を織り込んでおかないといけない訳です。果たして3月15日までに間に合うでしょうか?
これはおまけです。もはや小学生でもわかる算数ですが、10億ドルの財政支出が増えて、50億ドルの税収が減って、目の前の債務上限期日を3月15日に控える20兆ドルの巨額な連邦債務があって、この財政政策で連邦債務が消せると思いますか?
あり得ません!!!
ということで、ドルの価値は利回りが上昇しても上がらない理由がここにはありそうだ。そして、この先、金の価格は面白いことになるかも知れない。
今週もどうぞ宜しくお願いします。
Good Duck!
Shortman