おはようございます。
Shortmanです。
海外に来ておりますが、寒くて寒くて・・・
知り合いの外国人ディーラーとミーティングをしておりましたが、日銀のマイナス金利に関して「驚いた!ぶったまげた!」と申しておりました。
私の驚きました。
詳しくは後半に記載するとして、まずは先週のおさらいをしましょう。
前週1月24日週の概況:
日本銀行は29日に開いた金融政策決定会合で、日銀当座預金-0.1%のマイナス金利を適用を決定し、必要に応じてさらに金利を引き下げることを表明した。マーケットはひとまず日銀のマイナス金利導入を好感しており、ドル円は一時121.69円まで円安が進行し、株式は全面高となった。また、ロシアとサウジアラビアの原油減産のニュースがヘッドラインに流れたことで、原油価格が持ち直したこともマーケットのセンチメントの改善につながった模様だ。
今週1月31日週の予想レンジ:
119円~123円
今週はドル円に関しては、マイナス金利導入をしているECBの政策効果などを見極める時間となり、底固い展開も予想されるが、5日に1月の米雇用統計を控えており、この結果次第では再び円高に向かう可能性が高い。また、原油の減産合意のニュースは、かなり実現性が難しいと考えられ始めており、こちらも再び底値を探る展開が予想されるので、注意が必要だ。
Shortman’s View:
木曜日に『相場は逃げませんので、日銀の政策決定会合を待ちましょう。』と書いておきましたが、本当にサプライズが出てしまいましたね。一旦リバウンドは起きたし、こうしたサプライズがあるといけないので、FOMCやECB、日銀政策決定会合や雇用統計前には短期のポジは外すように皆さんに注意を促していたので、まぁ、問題はないのですが、反省点があります。予想は当たれば良いのだけど、当たった理由が違うからね。
『中国は何も問題は解決していないけど、とりあえず旧正月前だし、テクニカル的に下ヒゲがビヨ~ンだし、私が日本のバブル崩壊時のデータから計算した上海総合指数の目先の予想安値(昨年の高値から9か月後に48.6%下落して、2661ptをマークするという予測)もクリアしたし、原油も底堅くなってきたし、日銀の政策決定会合通過後は材料出尽くしで、ちょっと1バウンドがあってもおかしくはないなと。』
1バウンドはありましたが、『日銀の政策決定会合通過後は材料出尽くしで、』ではなく、新たな材料が出てしまいました。
世界中の金融市場を驚かせた日銀のマイナス金利ですが、別に驚くことではないのですが、ネガティブな話題しかない金融市場には、再び「一筋の光」が差し込んだのでしょう。
私は常々「思い込みはダメ」と言皆様にいながら、結構自分は思い込むタイプなので、先週の週報でこう書きました。
『おまけですが、FOMCの後28日(木)・29日(金)で日銀政策決定会合が行われます。既に次回3月での追加緩和を示唆したECBに続き、FRBや日銀の追加緩和を期待する声も聞かれております。そのためハードルが余計に高くなってしまって、何も無ければ失望売りが強まると思います。仮に日銀が追加緩和の可能性を示唆し、その緩和の内容が補完的な措置ではなく、単にETFやREIT等の買入増額等になれば、株式市場を刺激することもあるかも知れませんが、正直世界経済へのインパクトは限りなく小さいので、リスク回避モードを消し去ることはできないと思います。FOMCの翌日に政策決定会合を行うなど、いかにも自分で決められない日本人的な姿勢が、日銀の政策決定会合のメンバーには感じられますので、ECBやFRBの次のアクションを見てから動きを決めようとする姿勢でしょう。なので個人的には、現状での日銀の追加緩和の可能性は非常に低いと判断しています。』
『一方で、ECBはドラギ総裁が次回3月には追加緩和を行うと明言しておりますが、日銀は微妙です。仮に日銀が追加緩和を講じるなら、「経済・物価情勢の展望(物価展望レポート)が公表される1、4、7、10 月の会合と考えられており、今週の政策決定会合で何らかの政策が打ち出される可能性も無いとは言えないが、今の円高の水準は昨年12月の日銀企業短期経済観測調査(短観)の大企業・製造業の2015年度下期の想定為替レート1ドル=118円と大差なく、戦勝国である米国を敵に回して量的緩和をして円安誘導を行うとは考え難い。』
かなりな思い込みでした・・・
さらに、先週木曜にはこんなことまで。
『私は、118円前後は前回の短観で記された大企業の想定為替レート118円のとほぼ変わらないので、ドル高を促すような円安誘導はできない。3月のECBやFRBの開催を待ちながら、次の物価展望レポートが出るタイミングまでは「現状維持」と予想しています。』
私なりに根拠はあっての分析ですが、さすがに「マイナス金利」は想定外でした。
私の直感ですが、「岩田規久男先生だな」と思っています。
欧州でECBが既にマイナス金利を導入していますが、「ECBのマイナス金利政策では効果らしい効果もないので、日銀はマイナス金利の導入はしないだろう」と私が思い込んだことが原因です。
『(1)「金利」:マイナス金利の導入(賛成5反対4)
金融機関が保有する日本銀行当座預金に▲0.1%のマイナス金利を適用する1。
今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる。』
私は心の中でつぶやいています。『黒田総裁の金融政策は「サプライズ!」が多いな。サプライズ効果しかないやん。インフレ目標も不発だったやん』。
マイナス金利に対する私の考えは、簡単です。
『民間銀行が資産として日銀に預けている預金に対して、日銀がマイナス金利を導入することで、民間銀行に貸出を増やさせようとしているのかも知れないが、この世界・日本の経済情勢で、日本で優良な貸出先がある訳がない。あるならばとっくに貸出をしているはず。』
皆さんも同じはずです。
銀行に預金すると金利を取られて元本が減るからといって、預金を解約してお友達にお金を貸しますか?お友達にお金を貸しても返済されるかどうかは未知数です。そうなると、現金で抱えて、自宅の地下金庫かタンスにゴンですよね。民間の銀行も同じだと思います。
もしかして、もしかすると。
『しかし、有望な貸付先がなければ、民間銀行はどうするのか?日銀預け金にマイナス金利ならば、日銀に預けずにいて、貸出もしないで、現金で保有するのか?それとも国債をさらに購入するのか?しかし、新規の買い入れ枠は80兆円だし、乗り換えが40兆円で国債の新規発行額はほぼ満額日銀に買い入れられる訳で、わざわざ国債を買おうとするともっと高い値段で買い取ってもらわないといけなくなるし・・・』
ならば、政府による国債発行を増やし、日銀の買取枠を増やせば解決みたいな感じを受けてします。えっ、さらに国債を発行させるための布石か?
それは考え過ぎかな。
『強いて効果があるとすれば、マイナス金利を導入している欧州でユーロが安くなったように、円を安くしておくことかな・・・』
この時代になってもまだ円安誘導・・・???ここで深読みをします。
『エリート達はマイナス金利を導入しても貸出が増えることはないが、円安にはなると知っています。ドル高は望めない世界経済の状況で、円安誘導するには、表向きは貸出を増やすべくマイナス金利を導入して、副作用で円安ならば米国も文句は言えまい・・・みたいな。そして、もっと先読みするならば、これから大きな経済ショックが来て、大きな円高に向かうことを避けるために、円安に誘導してそのショックに耐えようと備えているのではないか・・・』
考え出すとキリがないですね。
しかし、私の思い込みには理由があります。
「金融政策には限界がある」
と思っているからです。
岩田規久男日銀副総裁は私の学部時代の恩師ですが、私の博士課程の恩師は、池尾和人慶應教授です。
両者は相容れない金融政策に関する考え方をしている訳ですが、私の頭の中では、相場とは全く関係なく、純粋に経済・金融論として、池尾教授の考えが正しいと感じているところがあります。
参考までに・・・
Bloomberg, 池尾氏:金融政策の限界、ゼロ金利超えた量的緩和に効果なし
理論的に正しいかどうかは相場には関係ありません。
しかし、頭の中で理論的な考えをして、それが思い込みになってしまったようです。
ただ、相場が回復するための条件は「中国経済の回復」と「原油価格の回復」の2つですから、日銀のマイナス金利が中国と原油に影響を与えるとは考え難いので、早晩日銀のマイナス金利の化けの皮はすぐに剥がれると思います。
定点観測:
ダウとドル円
ドル円と米2年債利回り
VIX
金価格とドル・インデックス
原油価格とドル・インデックス
上海総合指数
今週も頑張りましょう!
Good Duck!
Shortman