おはようございます。
Shortmanです。
先週土曜日はわざわざセミナーまでお越し頂きまして、誠にありがとうございます。
風邪だか、アレルギーの発作かわからないですが、体臭が、失礼、体調が芳しくなく申し訳ありませんでした。
「毎回同じ内容なので、何度も来なくても大丈夫ですよ~」
とお話をさせていただいているのですが、皆様本当に熱心で、ありがとうございます。
6月に米FRBが利上げを行うか、否か・・・
英国の離脱が世界経済に悪影響を及ぼすのかどうかは、正直不明。
悪い方に考えると、世界経済の景気が減速して、米FRBは利上げのタイミングを逸することになる。
しかし、今週18日に前回4月のFOMCの議事録が公表されるが、4月のFOMCの後で6月の利上げを匂わすようなことはなかったと私は考えている。
その時のロイターのトーン。
ロイター, 米FRB、利上げ見送り 引き締め急がない姿勢示す
『据え置きは予想通り。FRBは経済見通しに対する信頼感を表明し、6月に利上げを実施する可能性に道を残した格好となったものの、声明では利上げは急がないとの姿勢も示した。 』
では、昨年12月に利上げをしたが、前回の時はどんな感じであっただろうか。
2015年の10月のFOMCの後にロイターはこんな記事を出している。
ロイター, 米FOMC、再び金利据え置き 12月利上げに照準
『米連邦準備理事会(FRB)は28日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、事実上のゼロ金利を据え置いた。だが次回会合について直接言及し、12月の利上げが依然あり得ることを強調した。』
そうなんです。
前回12月の利上げの時は、その前のFOMC後に、12月に利上げが行われるということがわかるようにFRB側も情報を発信していました。
そして、議事録が公表された際も、ロイターはこんな感じで報じています。
ロイター, FOMC議事要旨、大半が12月会合までに利上げ条件整うとの見方
『米連邦準備理事会(FRB)が18日に公開した10月27、28両日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、大半の参加者は利上げの条件が12月会合までに整う可能性があると考えていたことが分かった。ただ、米経済の長期的な見通しに下振れリスクが出てきたことも議題に上がった。』
さらに、10月のFOMC後にイエレンFRB議長は、米国議会でこのように発言している。
日経, FRB議長「12月利上げの可能性」 議会証言「データ次第」
『米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は4日、米下院金融サービス委員会の公聴会で証言し、9年ぶりの利上げについて「経済データ次第だが、12月の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げする可能性がある」と述べた。』
データ次第とは言いつつも、議長は利上げを行うことを示唆している内容だ。今年4月のFOMCの議事録は今週18日に開示されるが、前回の時は12月の利上げを決定したFOMCの前の10月のFOMC終了時点で、市場との会話を考えてか、FRB側はきちんと情報を提供して、市場に利上げをきちんと織り込ませるように動いていたことになす。
しかし、今回の6月の利上げに向けてのFRBの動きはどうであろうか?
4月のFOMCの終了時点でのロイターの記事を見る限り、6月の利上げは不透明だと感じる。
仮に、4月のFOMC時点で、6月に利上げが行われるとしたら、市場に対して(黒田日銀総裁のように)大きなサプライズを狙う必要もないので、既に情報がリークされていると思うし、もっとイエレンFRB議長が積極的に発言していると思われるが、現在までのところは、この情報だけだ。
Bloomberg, 米FRB議長:マイナス金利の可能性否定せず-下院議員に書簡
投票権を有するFOMCのメンバーが、利上げを肯定しているメッセージを発信している。
Bloomberg, 2人の米地区連銀総裁が利上げ主張-タカ派とハト派の意見一致か
これを持って6月利上げと判断することはできない。
大統領選挙を控えて、動きが取りにくくなる可能性もあるであろう。英国のEU離脱で景気が悪くなる前に利上げをしておく方が良いと考える方々も多い。非常に難しい判断だが、ぶっちゃけ無理して6月でにしなくても、7月でもあんまり変わらない気がするが。とにかく、今週18日に公表される4月のFOMCの議事録まで待つ他はない。
あっ、ちなみに利上げとなると、他通貨に対してドルは買われるが、恐らく株価が下落し、商品価格も下落し、新興国から資金が引き上げられて、リスク回避の流れとなり、経常収支が伸びている日本の円が再び買われてしまうだろうなと思っているので、円安が進行する程度はたかが知れている。6月にFRBが利上げをしようがしまいが、残念ながらどちらに転んでも円高のトレンドに変化はないであろう。
前週5月9日週の概況:
先週のドル円相場は、ドルが他通貨に対して買い戻される流れの中で、麻生財務大臣の口先介入、黒田日銀総裁の発言等もあり、円高に対するポジションの調整が投機筋を中心に進んだ。107.10円でスタートした後は、特段円安に向かう理由は見当たらないまま、ジリジリと値を上げて109.48円まで値を戻した。但し、日本の実質金利が高いことや、先週公表された日本の経常収支黒字の回復もあり、円安は大きくは進んでいない。
私の先週の予想レンジは、NY株価の下落が起きれば円高方向へ動くと想定しており、104円を下値にしつつ、ドルの買い戻しもあるので、109円程度が円安の目処かなと予想していました。結局、107円~109.48円のレンジで、円高へも円安へも大きくは動きませんでした。
今週の予想レンジ:
107円~110円
今週5月16日週の予想:
円安方向へ流れるとすれば、投機筋の円ロングの巻き戻し、政府関係者の口先介入、来月6月の米FRBへの利上げ期待、日銀の追加緩和期待かなと。しかし、これらはマクロ経済要因ではないので、ニュース情報に左右されがち。特に、日銀の追加緩和は「円安に導く効果が薄れている(又は、ほとんどない)」状況だし、FRBの利上げは事前アナウンスがない状況で、いきなり来月利上げは考え難いので、5月18日に公表される前回のFOMCの議事録を見てからの判断になろう。また、一方で、現実的なマクロ経済要因として、日本の実質金利が高いことと、先週公表された経常収支黒字の伸びを考えると、普通に円高の動きとなるので、総じてレンジ内での取引かなと想定している。
定点観測:
ダウとドル円

ドル円と米2年債利回り

ドル・インデックス

VIX

VIX:VXV

金価格とドル・インデックス

原油価格とドル・インデックス
Shortman’s View:
日本の経常収支や貿易収支が円高の要因になるというお話なんですが、ちょっと朝から自分で表を作成してみました。
日本の経常収支・貿易収支とドル円の関係を見て欲しい。左軸が経常収支・貿易収支で単位は億円。右軸がドル円で単位は円です。
出所:「財務省 国際収支の推移」状況よりShortman作成
はい、自分で考えることを学んで欲しいShortmanから宿題です。皆さんでドル円のタイムラグを考えて下さい。
ちなみに私は1年半程度かなと思っています。
セミナーでも話しましたが、経常収支の増減を見る限り、今後数年は円高だろうなと容易に想像できます。
おまけですが、トランプが米国の大統領になろうが、クリキントンが大統領になろうが、米国はジャイアン様なので、米国の景気を悪化させるドル高は望まないはずなので、こちらも円高ですね。
さぁ、今週も頑張りましょう!
Good Duck!
Shortman
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