おはようございます。
Shortmanです。
先週金曜日には予定通りイエレンFRB議長の講演が行われわました。
講演の内容の前に、ここで日米の金融政策担当者の戦略をゲーム論的に考えながら、中央銀行家の講演を考えましょう。
米国:
①米国の雇用は完全雇用で、物価はそこそこ安定な中、バブルの兆しが見え始めているので利上げをしたい。しかし、ドル高を誘発してしまう可能性がある。
②ドル高になると製造業と株価に影響を及ぼすので、ドル高は避けたいので、緩やかな利上げしかできない。
③利上げしかできない中で、対日貿易赤字が多い中で、これ以上円安・ドル高を容認するな!
”The Federal Reserve’s Monetary Policy Toolkit: Past, Present, and Future”, Chair Janet L. Yellen
大方の予想通り、緩慢な利上げについては正当化をするものの、利上げの時期には触れてはいない。彼女もこの姿勢は当然で、ドル高は製造業への業績を悪化させ、利上げは株価を下落させるからだ。また、財政政策に言及しているのは、景気対策としての金融政策は既に限界だと思っていることの表れかなと思います。
金曜日に円安に振れているのは、単純な利上げ期待に加えて、短期筋の円ショートのカバーが入っていることと、黒田総裁の金融緩和期待。
日本
①アベノミクスはたまたま他国の金融政策にただ乗りしただけということが判明しつつあり、安倍総理も黒田総裁も経済政策的には「無能」の烙印を押されそう。→財政的には金がないので、名目上は政府の負担が少なくみえる金融政策でどうにかしたい。
②製造業と株価を支援するために円安へ誘導したい。
③米国が利上げをするタイミングで緩和できれば、円安が確実なものにできる。
日本銀行, 「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」による予想物価上昇率のリアンカリング 日本銀行総裁 黒田 東彦
『先行きも日本銀行は、毎回の決定会合で、経済活動と物価に対するリスクを点検し、「物価安定の目標」の実現のために必要と判断した場合には、躊躇なく、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で、追加的な緩和措置を講じていく方針です。「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は非常に強力な枠組みです。そして、言うまでもなく、「量」・「質」・「金利」のいずれについても、追加緩和の余地は十分にあります。この枠組みをどう使って、2%の「物価安定の目標」を早期に実現するか、しっかりと検討し、実践していきます。』
・・・と締めくくり、日銀には量・質・金利共に追加緩和の余地は十分にあり、2%の物価目標のためには躊躇なく3次元で追加緩和を講じるという姿勢を示しました。
先週も書きましたが、日本は既に完全雇用です。ただ、インフレが2%に届かないだけ。インフレ目標を無くせばよい。デフレでも完全雇用が達成できているのを良しとすれば解決すること。日本経済が解決すべき大事なことは、「デフレでも完全雇用を達成してしまう経済構造」だと思います。
無駄な強がりは止めて、潔く間違いを認め、辞任して欲しいい。正直、黒田総裁にはこれ以上金融政策に関わって欲しくないのですが・・・
さて、先ほどの日米の金融政策担当者の話題に戻しましょう。ドル高を阻止したい米国と、円安に誘導したい日本では、思惑が違ってきます。
そして、いつもの「日本は敗戦国・植民地」という理論が登場します。恐らく水面下では激しい交渉が行われているとは思いますが、米国からすれば、ドル高を支援するような円安誘導的な緩和策を、敗戦国であり、植民地である日本が行うことに良い顔はしないでしょう。もちろん。ドラえもん理論的にも、わがままなジャイアン(米国)は、弱虫なのび太(日本)をいじめるでしょうね。
5月23日の為替日報から。
素朴な疑問。
FRBが金利を上げると、ドル円はどうなるでしょうか?
単純に日米金利差でドル円が上昇するのかと言えば、名目金利で比較しても意味がないので、日米の実質金利差で判断しないといけない。
実質金利差の話はまた別の機会にするとして、今考えて欲しいのは、「そもそもFRBが利上げを行うと、ドル円はどう動くのか?」ということ。(デタラメな)専門家が言うように円安・ドル高になるのでろうか?
そもそも米国が利上げを行ったのは、昨年12月のを含めても、この30年間に5回しかない。
①1987年9月4日
②1994年2月4日
③1999年6月30日
④2004年6月30日
⑤2015年12月17日
そして、この5回中4回が円高・ドル安なんですね。
円安に振れたのは、2004年6月の利上げの時だけ(だが、その時はユーロ高でドル安・円安な展開だったので、ドル安であったことには違わないので、5回の利上げともに、ドル安であった)。
ということで、毒者と毒蛇の皆様が自分でグラフ化して調べたりはしないであろうと思い、実際のFFレートとドル円(月中平均)を自分でグラフにしてみました。左縦軸が金利(%)で、右縦軸がドル円(円)です。
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一目瞭然ですね。
ロンよりツモ、ではなくて、論より証拠が大事ですから。
FRBの利上げが6月か7月に行われるようだが、Shortmanが円高予想を修正しないのには、こうした背景があるということ。
ということで、真面目に解説してしまったが、この歴史的な事実の他に、日米の実質金利差がない(どころか、今年の2月の「マネーポスト, 日本の実質金利が米国上回る 強力な円高要因に」という記事を読むと、日本の実質金利が米国のそれよりも高かった)ことに加えて、さらには昨年2015年に5年ぶりに日本の貿易収支が黒字となり(「日経, 貿易収支5年ぶり黒字 15年度、経常黒字は倍増17.9兆」)、今年も円安の恩恵を受けて、経常収支・貿易収支が黒字化していることもあり、円高トレンドに変更はない。
ということで、イエレンFRB議長が9月利上げを行っても、利上げに伴うドル高による製造業へのマイナスの影響と、利上げに伴う株価下落を最小限にするには、緩やかな利上げしか望めない。したがって、FRBが利上げを9月に行っても、一時的なドル高・円安にしかならず、かえってそこがドル円の格好の売り場になると期待している。
先週8月22日週の概況:
26日(金)にイエレンFRB議長の講演を控えて、ドル円は動意の薄い展開に。22日~25日までのレンジは、99.91円~100.93円とわずかに1円であった。しかし、26日(金)に米ジャクソンホールで行われた講演で、イエレンFRB議長は「利上げへの論拠が強まってきた」と言明したことや、フィッシャーFRB副議長、が9月のFOMCでも利上げはあり得るとメディアに述べたことで、ドルが上昇して、ドル円は101.93円まで上昇した。
今週の予想レンジ:
100.50円~104.50円
今週8月29日の予想:
前述したように、日米の政策担当者の間では、円安とドル安という真逆の思惑がある。今週はヘッドラインで乱高下しそうな気がており、やや円安気味を想定して浮います。特に9月2日(金)には、8月の米雇用統計の公表があり、その数字を判断して、9月の利上げか12月かの判断に繋げたいと思う。基本的には米雇用統計まで、ポジションは持たない方が得策かも知れません。ただ、ドル円でみると大きな円安は期待ができそうもないのが現状ですので、良い売り場になることを期待しつつ。また、利上げ・ドル高は、株価下落・不動産価格下落を招き、ドル円では円が買われてしまいます。また、ドル高は製造業への悪影響を招くので、こちらもネガティブ・インパクトとなるので、長期的には円が買われる理由になりそうです。
定点観測:
ダウとドル円
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ドル円と米2年債利回り
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ドル・インデックスと米2年債利回り
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VIX
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VIX:VXV
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金価格
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原油価格
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Shortman’s View:
個人的にはFRBの金融政策よりも注目している大統領選挙。アメリカ人の多くは田舎者だと思うので、個人的にはトランプが勝利すると思っているのだが、今のところクリキントン婆がリードしている。
ロイター, クリントン氏のリード縮小、トランプ氏に5ポイント差=最新調査
しかし、このウィキリークス・ネタはクリキントン婆には致命傷になってしまう気がする・・・いや、致命傷になってくれ!!!
ロイター, ウィキリークス、クリントン氏選挙活動絡みの「重大」情報公開へ
どんな情報が出てくるのか楽しみだ!!!
ついでに言うと、こんなことも先読みしてFRBの政策には影響ているのかも知れない。
今週もどうぞ宜しくお願いします。
Good Duck!
Shortman