おはようございます。
Shortmanです。
ゴールデン・ウィーク中につき短くなります。
米商務省が4月28日(金)に公表した第1四半期(1月ー-3月期)の米実質GDP成長率(GDP・季調済・速報値)は、前期比年率換算0.7%増となり、市場予想の同1%増よりも弱かった。米経済の約70%を占める個人消費が同0.3%増と、2009年以来の低い伸びとなったことが今回の落ち込みの主因。
また、GDPデフレーター(速報値)は前期比年率換算2.3%上昇となり、市場予想の同2.0%よりも強かった。また、食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーター(速報値)は同2.0%上昇となり、4期ぶりの大幅な伸びを記録して市場予想通り。
4期ぶりの大幅な伸びを示した。
だった。前期は2.1%増。
経済の約70%を占める個人消費は前期比年率換算0.3%増となり、、2009年以来の低い伸びとなった。前期は3.5%増だった。エコノミスト予想は1-3月期0.9%増。GDP寄与度は0.23ポイントにとどまった。
しかし、株価は上昇するという・・・
その理由は「会計上の利益」つまり、合法的な粉飾ですね。米国企業が実際に本業から産み出しているお金を伴う利益は全体の利益の13%しかないという。残りは会計上の利益。ソフトバンクの得意技ですね。
Accounting is the Art.
(会計帳簿は芸術です)
経営者も投資家も目先の利益だけを追求しているから…
後は野となれ山となれ
2017年4月24日週の概況:
4月23日(日)に行われたフランス大統領選の第1回投票で、マクロン候補(親EU)が第1位となったことで、5月7日(日)に行われる第2回投票でのマクロン氏優位の情勢となったことや、トランプ政権の米税制改革案に対する期待感も加わり、ドル買いが優勢となった。また、北朝鮮等の地政学上のリスク懸念が後退したこともドル買いの支援材料に。26日(水)にはトランプ政権の米税制改革案が公表されたが、公表前は111.77円まで買われたものの、減税分の財源不足を成長だけでは補えないとの懸念からドルは再び売られて110.85円まで下落した。28日(金)に公表された。28日(金)発表された米1-3月期国内総生産(GDP)成長率は市場予想を下回ったもが、GDPデフレーターが底堅く推移していることもあり、6月利上げ期待から買いが入った。また、米議会が一種間の暫定予算案を承認したことで、一部政府機関の閉鎖がひとまず回避されたこともドル買いを支援した。
予想レンジ:
109.50円~113.50円
2017年5月1日週の予想:
5月2日・3日で開催予定のFOMCを控えており前半は様子見。また、5月7日(日)にフランス大統領選の第2回投票を控えてややドル買いも予想されるが、マクロン氏の勝利を既に市場は織り込んでいる可能性もあり、大きな上昇は期待できない。また、4月28日(金)に公表された米1-3月期国内総生産(GDP)成長率で、米経済を支える個人消費の伸びが大きく鈍化していることもあり、トランプ政権が打ち出している大幅な法人税減税を含む税制改革案に伴う財源不足がテーマになると、ドル買いが一服する可能性もある。おまけだが、北朝鮮の動向には注意しておこう。
定点観測:
ダウとドル円
ドル円と米2年債利回り
ドル・インデックスと米10年債利回り
VIX
金価格
原油価格
Shortman’s View:
グリーン・スパン元FRB議長がトランプ大統領の税制改革案に対して一言。
Bloomberg, トランプ大統領の予算案、計算能力に問題あり-グリーンスパン氏
『グリーンスパン氏は28日にブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、トランプ大統領の「計算能力が問題だ」と発言。問題は減税や国防支出増加に釣り合う連邦歳出の削減に積極的ではないように見えることだと指摘し、特に必要なのは年金や高齢者医療に関するいわゆる給付支出の削減だと論じた。』
私は先週金曜日のレポートにトランプ大統領の税制改革では新たに連邦債務が向こう10年で最大で7兆ドル増えるかも知れないと書きました。
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確かに目先は出尽くしですが、昨日のレポートで詳しく書きましたように、ここから先がテーマはアメリカ政府の財政赤字の問題、つまり、米国債の問題へ移行します。
大事なことは、トランプ大統領の減税策を受けて、早くもそのコストの計算が行われております。つまり、どれくらい財政赤字が拡大するのか?です。
CRFB(The Committee for a Responsible Federal Budget is a nonpartisan, non-profit organization committed to educating the public on issues with significant fiscal policy impact.)というNPOの資産が速攻リリースされております。
Fiscal FactCheck: How Much Will Trump’s Tax Plan Cost?
『But making some assumptions based on prior proposals, our best rough estimate suggests the specified parts of the plan would cost $5.5 trillion. Assuming tax break limits only apply only to higher earners, that cost could be as high as $7 trillion; assuming credits and exclusions are eliminated as well as deductions, it would cost $3 trillion.』
今判明している数字だけで向こう10年間の減税策のコストを大雑把に計算すると、ベスト・シナリオで5.5兆ドルで、最大では7兆ドルだそうですよ。
※この米国債の増加分は財政赤字を反映しており、将来の増税を意味しているので、長期的に見れば金利高と物価高で景気が上向かない可能性がります(大学院生はISLM分析を参照のこと。基本中の基本です)。
しかもこう続いている。
『Growth Can’t Pay for This Tax Cut』
経済成長では減税分を補えない
あちゃー!!!
『Even if tax cuts could generate more growth than estimated, no plausible amount of economic growth would be able to pay for a substantial portion of the tax plan, let alone reduce deficits. The country would need roughly 4.5 percent sustained growth to pay for the entire tax plan – two-and-a-half times the 1.8 percent that CBO projects to occur over the next decade. As we explained in Don’t Count on 4% Growth, the last time the country achieved even 4 percent sustained growth was in the late 1960s and early 1970s (though we came close during the technological boom of the 1990s). With an aging population, those growth rates are no longer possible. Achieving just 3 percent growth would require productivity growth to rise to the record levels set in the late 1960s and early 1970s.』
仮に減税が経済成長を促したとしても、それだけで税収不足を補うことはできず、仮にこの税再改革案を成し遂げようとすると4.5%もの成長率を維持し続けないといけないという。
1960年代、70年代なら経済成長も見込まれるが、今の時代は無理ですね・・・世界戦争でも起こせば別ですが(だから北朝鮮なのか!?)・・・
ということで、トランプ大統領は非現実的な税制改革案を公表しており、これがすんなり議会を通過するとかあり得ないですね。
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そして、減税分を経済成長では補えないと書きましたが、副大統領はこう言っています。
Bloomberg, 米副大統領:トランプ税制改革で財政赤字は当初増加する可能性
『ペンス米副大統領は4月30日、トランプ政権の税制改革案が実現すれば財政赤字は当初増加する可能性があるが、これにはその後の経済成長の高まりで対応できるだろうと述べた。30日放映のNBCのテレビ番組「ミート・ザ・プレス」でのインタビューで発言した。』
高齢化など日本化が進むアメリカで成長による税収増加が本当に見込めるのか疑問です。
トランプ大統領やその取り巻きが自画自賛しようが関係なく、まともな投資家なら冷静に考えて、爆発的な財政赤字を想定するでしょう。
Bloomberg, ブラックロックCEO、米国は「爆発的」赤字拡大の道筋に
『世界最大の資産運用会社、米ブラックロックのローレンス・フィンク最高経営責任者(CEO)は28日、トランプ政権の減税案について、財政赤字を減らすほどの経済成長を促す公算は小さいとの考えを示した。
フィンク氏はシカゴで開かれたモーニングスター・インベストメント・コンファレンスで、「われわれは爆発的な赤字拡大の道筋にある」と述べるとともに、「改革で赤字が増えれば深刻な問題を抱えるだろう」と語った。』
最後に先週金曜日のレポートの私の言葉はこう続いていました。
『今の分析のままだと向こう10年で財政均衡なんて不可能どころか、7兆ドルも負債を増やしかねない訳です。
具体的な税収を増やす手段が乏しく、正直ベースで経済成長頼みの鉛筆舐め舐めで、歳出を大幅に減らす具体策もないので、こりゃ~ダメでしょう。』
3日・4日・5日はレポート休刊します。
今週も宜しくお願い申し上げます。
Good Duck!
Shortman