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為替週報(2017年8月28日)

 

おはようございます。

Shortmanです。

 

週末ジャクソンホールで行われた経済シンポジウムでイエレンFRB議長の講演に注目が集まりましたが、市場が知りたがっていた今後の金融政策には触れず、金融行政や規制の在り方の話となり、市場ではハト派的と捉えられてドル売りの展開となっております。

 

August 25, 2017

Financial Stability a Decade after the Onset of the Crisis

Chair Janet L. Yellen

At “Fostering a Dynamic Global Recovery,” a symposium sponsored by the Federal Reserve Bank of Kansas City, Jackson Hole, Wyoming

 

イエレンFRB議長発言要旨:

 

・米金融規制のいかなる調整も控えめなものにとどめる必要

・危機以降に導入された改革に対する批判を認識、改革により金融システムの安全性が高まったとも指摘

・世界的金融危機の代償の記憶、「薄れつつある」可能性

・「中核的な」改革、信用・成長を損なわずに金融のレジリエンス(回復する力)を強化

・一部の改革、市場の流動性に影響を及ぼしている可能性

・「ボルカー・ルール」、補完的レバレッジ比率の見直しを排除せず

・調査はなお限定的、FRBは改革の効果の検証を今後も継続

・民間部門、銀行の安全性が高まったことを示唆

・イエレン議長、ジャクソンホールで行った講演で金融政策について言及せず

 

出所: ロイター, 情報BOX:イエレン米FRB議長講演の主な発言

 

FRBのバランスシートの縮小開始を匂わすかなと思いましたが、普通に考えて国際的な経済のシンポジウムで米国の金融政策の実施を宣言する必要は無く、むしろイエレンFRB議長の任期が来春で切れることを考慮すると、金融政策の不連続性や不必要な金融規制の変更が行われる可能性に対して、望ましい金融行政や規制の在り方をメッセージとして伝える方が適切であろう。

 

今後の金融政策の変更は9月のFOMCまでお預けとなったが、私は9月のFOMCでFRBのバランスシート実施がアナウンスされるという見方を今のところ変えてはいません。

 

2017年7月21日週の概況:

 

週初は米韓軍事合同演習実施を受けて米朝の緊張が高まることが懸念されて、週間安値となる108.60まで下落。その後は週末に控えてたカンザスシティ連銀主催のジャクソンホールでの経済シンポジウムでのイエレンFRB議長の講演やドラギECB総裁の講演内容を見極めたいとの思惑から、動意の乏しい展開に。途中米税制改革への進展が期待される報道からドルが109.82円まで上昇する場面も見られたが、トランプ大統領がメキシコとの国境の壁建設の予算を確保できなければ、政府機関閉鎖も辞さないとの強硬姿勢を示したことから再びドル売りになり、一時108.82円まで下落したが、その後は経済シンポジウムの講演を控えて買い戻され、109.84円と週間高値をマークするまで買い戻された。ただ、講演でイエレンFRB議長が金融政策に関しての発言を控えてことからドルが売られ、109.09円まで売られ109.34円で先週は取引を終えた。

 

実際のレンジ:

 

108.61円~109.84円

 

2017年8月28日週の予想:

 

ジャクソンホールでの講演内容からは金融政策へのタカ派的な内容は確認できなかった。むしろ前回のFOMCでインフレ率の鈍化に関して携帯電話や処方箋薬の値下がり等の一時的要因としたイエレンFRB議長の説明には納得のいかない点も多く、金利引き上げ正当化する根拠は薄い。ドラギECB総裁も出口戦略やユーロに関するコメントは控えたが、ユーロ買戻しの動きが確認されており、ややドル売り圧力が強いままと思われる。さらには、トランプ政権の迷走ぶりやアメリカの債務上限問題、北朝鮮情勢など、積極的にリスクを取る環境にはなく、上値は重い展開が想定されます。

 

ドラギECB総裁発言要旨:

 

・世界的な回復は堅調になってきている

・潜在成長が一段と強くならなければ、現在世界的に見られている循環的な回復は最終的に低成長に向け収束する

・世界経済により多くの活力を投入するには、潜在産出の伸びを押し上げる必要

・通商への開放性は脅威にさらされている

・公正さを巡る懸念に対処するにあたり、多国間の協力が不可欠

・保護主義への転換、生産性の継続的な伸びと世界経済の潜在成長に対する深刻なリスク

・手ぬるい規制が適切な時期はない

・手ぬるい規制、金融不均衡を生み出すリスクをはらむ

・金融政策が世界的に非常に拡張的となるなか、規制当局は危機を生み出すに至ったインセンティブの再燃を念頭に置くべき

・量的緩和(QE)は「大いに成功」、回復は根付いた

・大規模な金融緩和はなお必要、インフレはまだ目標に向け収束していない

・産出ギャップが縮小するにつれ、インフレは目標に向け収束していくと確信

・労働市場のスラックと生産性の伸びの低迷により、忍耐強さが必要

・信頼の向上に向け、世界の中銀はより良い情報交換・コミュニケーションに向け取り組める可能性

 

出所: ロイター, 情報BOX:ドラギECB総裁講演の主な発言

 

今週の予想レンジ:

 

107.50円~110.00円

 

定点観測:

 

ダウとドル円


ドル円と米2年債利回り


ドル・インデックスと米10年債利回り


VIX


金価格


原油価格


Shortman’s View:

 

景気は上向いている。雇用は回復した。株価は堅調。しかし、その裏側では各国の中央銀行が世界のGDPの40%に相当する政府債務を購入し続けてきたこを忘れてはならない。

 

短期的な視点でしか物事を捉えられない連中は、金融政策の内容に関してジャクソンホールでのイエレンFRB議長の講演はハト派的と受け止めた。しかし、彼女の講演の冒頭部分には、彼女としては量的緩和という政策のコストについてきちんと認識して、今後の金融行政や規制に役立てていくべきだと考えているように思える部分があります。

 

A decade has passed since the beginnings of a global financial crisis that resulted in the most severe financial panic and largest contraction in economic activity in the United States since the Great Depression. Already, for some, memories of this experience may be fading–memories of just how costly the financial crisis was and of why certain steps were taken in response.Today I will look back at the crisis and discuss the reforms policymakers in the United States and around the world have made to improve financial regulation to limit both the probability and the adverse consequences of future financial crises.

 

経済学で唯一正しい論理は「No Free Lunch.」ということだと以前に書きましたが、今回も同じでしょう。何かを得れば、何かを失う。

 

そして忘れてはいけないことですが、バブルが生じて破裂する度に中央銀行がそれを救済してまた新たなバブルの芽を育ててしまうことです。FRBは雇用の最大化と物価の安定という2つの政策目標を掲げていますが、その結果が新たなバブルを創りだしています。過去も同じように中央銀行がバブルを創ってきました。だから私は裁量的な金融政策は行なわずに、テーラー・ルールのような政策の方がまだマシだと思います。

 

Bloomberg, 【FRBウオッチ】テーラー・ルールが可視化する金融バブルの拡大

 

最後に古い記事ですが、参考に読んでおいてください。

 

日経, [FT]FRBは資産バブルを警戒せよ(社説)

 

『6年にわたり、FRBは資産価格を押し上げて実体経済に再点火することに全力を尽くしてきた。その道のりは見苦しくはあったが、間違いなく2つの邪悪な選択肢のうちのましな方だった。今後、ある時点で米国の金利は正常化し始め、利回り追求の動きも後退するだろう。市場に変動性が戻り、リスクが高まるだろう。FRBは持てる限りのマクロプルーデンス政策を講じ、自ら種をまいたバブルから、米国の景気回復を守らなければならない。』

 

この記事が出て3年が経過した今、バブルにより経済を成長させる政策もここまで中央銀行がバランスシートを膨らませてしまうと、扱いが難しくなっており、一歩でも政策や市場の会話を間違えると、一気に財政的な問題へ波及して、巨大な債券バブルの崩壊、いや、世界大恐慌へとつながる危険性が高いです。中央銀行がどうにかしてくるという根拠の無い期待を膨らませ過ぎる中央銀行こそが、問題の元凶であり、そろそろこの問題を直視しなければいけない時が来たのかも知れないと思っています。

 

今週もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

Good Duck!

Shortman

 

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