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為替日報(2017年10月18日)

 

おはようございます。

 

Shortmanです。

 

本日は結構読むのに疲れると思いますが、長期的な相場と短期的な相場の境目の議論にもつながる話で、次のFRBの一手を読み解く上でも重要な話なので、我慢してお付き合いください(内容的には大学のゼミレベルです)。

 

今が「偽りの夜明け」なのか、バブルの中なのか、ブルース・リーの心境にたどり着けばDon’t think, feel!(考えるナ、感じるんだ!)でわかるとは思いますが、いろいろなご意見がございます。

 

5日ロンドンで日銀の中曽副総裁の講演が行われ、その中で彼はこう述べています。

 

『日本銀行は、デフレからの脱却という長い道のりを歩んできました。これまでの日本銀行の政策対応を振り返ると、狙い通りの成果が得られたこともありましたが、そうならなかったことがあったことも認めざるを得ません。また、これまで何度か偽りの夜明けも経験してきました。しかし、私達は、過去の経験から多くの教訓を学んできたのも事実です。私には、今度こそ、真の夜明けが近いと信じるに足る、より多くの理由があるように思います。

参考:

日本銀行, 日本経済の底力と構造改革

 

おー!

 

とうとうそこまで日本も回復してきたか!!!

 

な~んて、思った貴方は全然このレポートの大事な部分が見についていません!

 

まずは疑うことです!

 

本当なのか?・・・と。

 

そもそもこの「偽りの夜明け(false dawn)」という言葉ですが、本レポートで何度も取り上げておりますが、白川前日銀総裁が2009年4月にNYで行われた講演で用いた言葉です。

 

日本経済は、1990 年代の低成長期においても、何回か一時的な回復局面を経験しました。ただし、このことは、経済が遂に牽引力を取り戻したと人々に早合点させる働きをしたように思います。これは「偽りの夜明け」(false dawn)とも言うべきものでしたが、人間の常として、物事が幾分改善すると楽観的な見方になりがちです。』

 

参考:

日本銀行, 経済・金融危機からの脱却:教訓と政策対応

 

先日の大学院の講義でも説明しましたが、米FRBが金融正常化へのプロセスを推進する中、日銀の黒田総裁は「今後とも強力な金融緩和を粘り強く進めていく」という発言を繰り返して発信しており、日本が金融緩和を継続しているかのようなパフォーマンスをしています。

 

参考:

ロイター, 黒田日銀総裁、「強力な金融緩和継続」とG20で説明

 

日本銀行, 黒田総裁記者会見要旨(10月13日)

 

しかし、実際は別で日銀の国債買い入れペースは年間80兆円としておきながら、現在までのところ年間60兆円のペースで推移しており、こっそりとテーパリング(資産購入額の減額)を行っています。

 

では、この日銀のよるこっそりとテーパリングを行っているのは、日本経済が本格的に回復してきたからでしょうか???

 

そもそも米国経済も、他の国も、本当に経済が成長軌道に乗るほどの回復をしているのでしょうか?

 

そこで一つの疑問が生じます。

 

成長が軌道に乗る、つまり、景気が回復するならなぜインフレ率が低いままなのでしょうか?

 

確かに労働市場は力強く、失業率も低下しております(個人的には望まない仕事に就職するしかないとか、非正規雇用が増えているとか、様々な統計の細工があると思っていますが・・・)。ではなぜ賃金上昇圧力が生じ、インフレ率が上昇しないのでしょうか?

 

FRBからも、米国の一流大学の経済学者からも明確な回答は得られていません。

 

FRBに至っては、イエレンFRB議長は携帯電話料金の値下げの影響と言ったり、NY連銀のダドリー総裁(FRB副議長)は技術変革などの構造変化がインフレ率の低下をもたらしていると統一の見解が出せないまま、低インフレ率の問題を要観察としながら、いわば棚上げしたまま利上げを行うような発言を繰り返しています。

 

私は経済学、特に金融政策論を研究してきたこともあり、10月2日に公開されたミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の論説に注目しています。

 

経済学には時代時代の流行があって、1970年代に流行ったのですが、ノーベル経済学賞受賞者で、シカゴ大学のR.E.ルーカス教授が提唱した「合理的期待形成仮説」を用いたアプローチがあります。

 

先日の今年のノーベル賞受賞者のシーラー教授はこの合理的な期待がいかに出鱈目かということを行動経済学で説明した訳で、経済学には常にこの「合理的期待形成」という概念が非常に重要になります。

 

非常に乱暴な説明ですが、この合理的期待形成仮説の一番の重要な概念の一つは、人々が合理的に期待を形成すると経済政策の効果は無くなってしまうので、経済(金融)政策はサプライズを起こさないと効果が無いということに繋がります。

 

カシュカリ氏の仮説は、FRBのような金融当局者の姿勢や発言、実際の金利の変更等の政策が、人々の将来の金利予想(金利への期待形成)に影響を及ぼし、その結果として金融政策の効果が波及するという仮説です

 

これは非常に注目に値する仮説です。

 

経済学・金融論ではこういう理解です。

 

一般的には、景気拡大が続き、賃金上昇圧力からインフレ率が上がり始め、中央銀行は利上げを行うことで景気拡大を抑え、その結果として景気後退期が訪れるという説明です。

 

ここには、金利予想に関する人々の期待形成や、それが経済(例えば、インフレ率)に及ぼす影響のことは想定されていません。

 

市場は中央銀行とのゲームを行っているので、次の一手、次の一手と参加者は中央銀行の政策を先読みしていきます。そうした過程の中で、人々は自然金融政策が波及した現実の経済の予測を自然と行っている可能性があるので、私はカシュカリ氏の仮説は大いに妥当性が高いと考えております。

 

ここで詳しく彼の主張を少しだけ取り上げておきましょう。

 

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