メリー・クリスマス!
Shortmanです。
仕事で香港におります。
多忙過ぎて体調が芳しくない日が続いたせいで、 なかなか来れずでしたがようやく来れました。
欧米の方々がクリスマス休暇を迎えているので、 大したニュースもありませんが、 先週米税制改革案が無事に成立しました。
トランプのおっさんが掲げた公約がようやく実現した訳ですね。
『トランプ米大統領は22日、 大規模減税を実現する税制改革法案に署名し、同法は成立した。 米国の法人税率は現行35%から21%に下がり、 米国以外の企業や大部分の個人も減税の恩恵を受ける。』
記事にもあるようにメインは法人税の大幅減税。
これにより向こう10年で約1兆5000億ドル (約170兆円)の減収となる見通し。
大事なのは、この先の相場がどうなるのか?ってこと。
参考になるかも知れないコラムがあるので、掲載させて頂きます。
『ただ、法案成立の見込みが高まった12月15日以降、 米国の株価は最高値を更新し、長期金利は( 米10年国債利回りは3月以来の2.5%に)上昇した一方で、 ドル円の上昇は鈍く、ドル実効為替は下落している。 なぜだろうか。』
株価と米国債利回りは上昇しながらドル円は下落するという事態が 生じています。
何故?
『理由として、市場が税制法案成立を完全には織り込み切っていな かったこと、 米国の財政赤字拡大と格下げリスクへの懸念が米長期金利上昇( 米国債価格下落)とドル安に働いたことが考えられる。また、 今回の減税は、 米国の企業利益を押し上げるとの期待から株価を押し上げた一方で 、経済成長とインフレを押し上げる効果が小さいとの見方から、 利上げ期待を高めて米長期金利とドルを押し上げる力が弱いのでは ないか。』
はい。そう思います。
そしてもちろん個人的な確証バイアスですが、 最後はこう結論付けられています。
『こうしてみると、米税制改革法案の成立後にドル円上昇が進む可 能性は高くないと思われる。近年の傾向からすると、 米株価上昇率がプラス4%、米10年国債利回りが2.6% となると、ドル円は116.4円程度になりやすい。だが、 今後は米長期金利上昇と株価上昇が両立しにくくなるだろうし、 米景気指標の改善が続いて金利が2.6% を超えて上昇する可能性も低いだろう。
米株価上昇率がマイナス2%、米10年国債利回りが2.6% となると、ドル円は113.8円程度になりやすい。一方、 米株価上昇率がマイナス2%、米10年国債利回りが2.2% となると、ドル円は109.0円程度になりやすい。2018年は 次第に先行きの経済成長鈍化を読み始めて米長期金利と株価が頭打 ちとなり、ドル円が110円を割り込む可能性が高いのではないか 。』
このコラムにもあるように、 個人的には期待インフレ率が低いままであることと、 米財政赤字の拡大への大きな懸念があることが円安に向かわない要 因だと思っています。
まぁ、どうなるかはわかりませんが、私はそう思います。
そして、株価が暴落すれば、 100円だって軽く割り込むと思いますよ。
ウッシシシシ(^_-)
2017年12月18日週の概況:
先々週の112.01円までの円高の流れを受けて、 週初に112.30円の週間安値をマークしながら、 その後はから共和党の米税制改革法案可決への期待からドル買いで じり高に。 21日に米税制改革法案が米上下両院で可決されたことを受けて、 米10年債利回りは一時2.50%水準まで上昇し、 ドル円は一時113.63円まで上昇した。 法案成立後は材料出尽くしな上に、 クリスマス休暇を控えて積極的な商いは減少して、 もみ合う展開になり徐々に値を下げた。
今週のドル円予想:
111.50円~113.50円
2017年12月25日週の予想:
米税制改革法案が可決されたこともあり、 目先大きなテーマはない。 年末超えのドル買いのオーダーがドル円相場を支える可能性はある が、クリスマス休暇・年末年始の休暇ということもあり、 ポジション調整で動意は薄いと想定。但し、 市場参加者が少ない分、値が飛ぶ可能性もあるので注意が必要。
定点観測:
ダウとドル円
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ドル円と米2年債利回り
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ドル・インデックスと米10年債利回り
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VIX
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金価格
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原油価格
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Shortman’s View:
三菱の内田さんのコラムが出ていますね。
だいたい先日のセミナーと大学院で私が講義したことと同じです。

非常に論点が整理されており、 わかり易いので読んでおいてください。
『米国は財政政策が拡張的な方向へ踏み出すが、 金融政策の正常化も続く。政策金利(フェデラルファンド= FF金利)からインフレ率を差し引いた実質FF金利は、1.7― 1.8%程度とされる潜在成長率をまだ下回っており、緩和的な状 況は続くが、今後の利上げでその差は縮小する。 ここに保有資産の縮小も加わるため、2018年の米金融政策は、 引き締めに転じるわけではないものの、緩和度合いは和らごう。 よって、2018年も長期金利の上昇は限定的となり、 ドルは上がりにくいだろう。』
『確かに、ドルは2014年半ば以降に全面高となったが、 それは世界的に金融緩和強化の流れが進むなか、 米国だけが正常化に向かうといったコントラストがことさらドル高 を助長したためだ。その点、 2017年はカナダや英国が利上げを実施し、 ユーロ圏も2018年以降、 新規の資産買い入れ額の半減を決めている。金融政策の正常化は、 程度の差こそあれ、もはや米国の専売特許ではない。従って、 2018年も2014年以降のドル高に対する反動(ドル安圧力) がじわりとのしかかる可能性が高い。』
『唯一、ドルをサポートするのは、 世界的にみたドル資金需給の逼迫(ひっぱく)だ。実際、 2017年も9月頃から直先スプレッドが拡大し、 それと歩調を合わせてドルが持ち直した。2018年も年初からし ばらくドル安トレンドが続くだろうが、 年末にかけてはドルが持ち直すといった季節性は残るだろう。』
『ただ、2018年の円相場にとって、 重要なのはやはり日銀の政策スタンスである。むろん、 物価安定目標に距離を残している。 日銀が明示的に正常化を語り始めたり、長期金利の誘導目標を引き 上げたりする可能性は低いが、 黒田東彦日銀総裁も金融緩和の潜在的な副作用について語り始めた 。
その上、金融政策決定会合における「主な意見」にも、追加緩和へ の慎重な意見や副作用への言及が目立つ。 日銀の緩和長期化が見込まれはするが、長期金利が上昇した際、 日銀が0.1%越えを少し容認する姿勢を示すと、 日銀のスタンス変化を読み取り、円に上昇圧力が加わろう。』
『このほか、日本の国際収支からも次第に円高圧力が増す可能性が 高い。2017年の経常黒字はじわりと拡大し、 2000年代以降では2007年に次ぐ規模に達する見込みだ。 実需の潜在的な円買い需要は増している。さらに、 為替ヘッジコストが上昇した結果、 ヘッジ外債の投資妙味が大きく後退し、 対外中長期債投資の大幅な減少を招いている。』
『為替ヘッジ比率の引き下げに伴う一定の円売り需要が高まる可能 性もあるだろうが、2016年秋の債券相場急落を念頭に置いた厳 格なリスク管理への必要性から、 銀行勘定の外債投資は2018年も盛り上がりを欠いたままだろう 。直接投資と合わせた対外投資フローが、 円高への歯止め役になったとしても、2017年同様、 円安トレンドを形成するには至らないとみる。』
『確かに、内外の金融政策格差を理由に、 円安期待は根強いとみられる。しかし、為替市場のテーマは移り行 く上、予想の策定にあたって線形近似の概念は禁物だ。それは、2 017年のドル円が、 日経平均株価の大幅な上昇や2年国債でみた日米金利差の拡大にほ とんど反応を示さなくなったことからも明らかだ。』
『前者の株価に関して言えば、 日本企業が為替相場に影響を受けることなく収益力を増したからで あり、 後者の金利差についても目先の米国の金融政策正常化に反応してド ル高が進む局面は一巡した可能性が高く、 2018年も米国では利上げと緩やかなドル安トレンドが併存する とみる。』
ということで円安に振れる要因は見当たらないのだ!
最後に内田さんは2018年のドル円相場をこう予想しています。
『これに対し、高まりにくいインフレや賃上げへの期待、 日銀のスタンス変化の可能性、 国際収支の変化といった材料を積み上げると、 円には緩やかながらも円高圧力が加わると考えられる。この結果、 2018年の年末に向けてドル円は緩やかに下落しそうだ。 ドル110円割れでは、本邦の対外投資が下支えするだろうが、 107円程度で着地すると予想している。』
着地の金額は違いますが、 ドル円の相場観としてはShortmanの読みと同じっす!
参考:
以前にも掲載してますが、歴史は繰り返す・・・。
直近のダウ.jpg)
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直近の日経平均
1989年の日経平均

1990年の日経平均

Good Duck!
Shortman