おはようございます。
Shortmanです。
トランプ政権が保護主義へ舵を切りつつある中、問題は2つ。
① 米中貿易戦争に発展するのかしないのか。
② 米国の保護主義が対日政策でも適用されるのか。
①に関して、既に先制口撃が始まっているようだ。
ロイター, トランプ大統領、中国との貿易戦争恐れていない=米財務長官
これに対して中国が、恐れている手段で対抗する危険性が生じてきた。
Bloomberg, 中国:米国債購入の減額も選択肢、トランプ関税への対抗で-駐米大使
『崔大使はブルームバーグテレビジョンに対し、中国が米国債購入の減額を検討するかについて「あらゆる選択肢を検討している」と回答。「だからこそ、一方的で保護主義的な動きは米国を含め全員に被害が及ぶとわれわれは考えている。米国の中流市民の生活や、米企業、金融市場が打撃を受けるのは間違いない」と続けた。』
米国債の約20%近くを保有する中国が売りに出れば混乱は必至。
私は昨年1月の9日のレポートで警笛を鳴らしておきました。
『 アメリカへ製品を輸出する国に関税をかければ、相手国の景気は鈍化するでしょう。相手国はまたアメリカの主要な貿易相手国であったりもするので、結局はアメリカの景気が鈍化します。中国のようにアメリカの主要な輸出相手国でなくても、アメリカの国債を大量に抱え、アメリカにファイナンスしてくれている国でもあります。今、ニュースでの確認できますが、中国は米国債を大量に放出しながら、人民元の防衛を行っております。中国を追い込んで、中国が保有する米国債をもっと売り浴びせれば、米国債の暴落を引き起こし、金融市場はパニックを起こす危険性も孕んでおります。 』
そうなった時に米国債まで買い支えるように米国から圧力をかけられそうなのが、日本政府と日銀という風に見えるのは私だけでしょうか?
こんな記事を読んでいると、通商政策で圧力をかけられ、安全保障面で助けられ・・・この次の米国の一手が透けて見える気がします。
Bloomberg, 日米首脳外交に限界、安倍首相の「片思い」か-北朝鮮、関税で
ロイター, コラム:微妙な「堅い絆」、米国の対日強硬策は円高誘因
植民地だから米国に従うしかないのだが・・・
※ 2017年1月9日のレポートを見直しておいてください。赤字・太字で強調しておきました!
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私は以前からアメリカ合衆国の大統領を見ていて思ったことがあります。クリントン元大統領やブッシュ親子、オバマ大統領・・・。「こいつらはいつもアメリカのことだけを考えて、国際社会を利用しているだけだ」と。
そして、トランプ氏が選挙戦で頭角を現し始めると、「アメリカ至上主義の権化みたいな候補が出てきたぞ」と感じました。
そして、ある種の期待をしました。
「このお爺さんは世界のシステムを崩壊させるかも知れない」と。
それが良いことなのか、悪いことなのか、私には判断できません。単なる好奇心ですが、私もまた日本の政治、経済、行政、財界、教育、全ての制度が時代に対応できていないと考えている人間なので、トランプ氏のような私利私欲の塊のような人材が、アメリカ大統領に就任すれば、アメリカ発で世界の制度が大きく変わると期待しているのは事実です。
ある意味で、毒を持って毒を制す的な。
アメリカの大統領が自国の利益を最優先にして、自国の利益のみを追求し始めたら、経済的混乱が生じる可能性が高いです。アメリカは1980年台に日米貿易摩擦を背景に、日本製のラジカセや車を破壊するサルよりも劣るパフォーマンスをしてみせた国です。その矛先が今は辛うじて中国へ向かい始めました。
ロイター, トランプ氏、国家通商会議を新設 責任者に対中強硬派ナバロ氏
ロイター, トランプ氏、USTR代表にライトハイザー氏指名 対中強硬派
日本は敗戦国であり、米国の植民地だから言われれば耐えがたきを耐えますが、数千年の歴史を誇る中国が、わずか200数十年程度の歴史のアメリカの言うことを素直に聞くとは思えません。
私は「2017年は波乱の幕開けの年」と考えております。
今までは中東問題、英国のEU離脱も、欧州で起きている政治的な運動も、アメリカの大統領選挙も、アメリカとの二国間貿易も、東シナ海の緊張も、全ては独立した事象でしたが、トランプ氏が大統領選に勝利してしまったことで、様々な問題が連携して動き始めだしたと思っています。
トランプ氏の次期大統領への就任は、世界の政治・経済システムを根底から破壊する可能性が高いと私は考えており、こうした最初の第一歩の年が今年であろうと思っています。トランプ氏の財政政策への期待は決して間違ったことではないですが、一方で彼が発信し続けるアメリカ保護主義的な情報は、確実に世界経済を委縮させることに繋がります。
アメリカは第二次大戦後、自らの経済的地位を確保し続けるために、自国内には思考が停止した太った家畜を大量に育て、SEXと消費だけをさせる一方で、市場が枯渇すれば、グローバル経済を標榜して他国へ商品を押し売りに行き、それも停滞すれば、グルーバルな金融システムを構築して、リーマンショックまでは金融主体で経済成長をしてきました。
それでも経済成長できないアメリカを今度は国内から活性化させようとするのは非常に素晴らしいことだが、保護主義的な政策を行えば行うほど、アメリカが過去に構築してきたグローバルな経済・金融システムは、各国々は相互依存しておりますので、アメリカ一か国だけの利益享受を許さなくなります。
ましてや、「なぜアメリカ製品が売れないのか?」を考えることなく、保護主義的な政策を実施しても無意味です。
ドル高で中国やメキシコ等の新興国を追い込めば、世界経済は成長を鈍化させます。アメリカへ製品を輸出する国に関税をかければ、相手国の景気は鈍化するでしょう。相手国はまたアメリカの主要な貿易相手国であったりもするので、結局はアメリカの景気が鈍化します。中国のようにアメリカの主要な輸出相手国でなくても、アメリカの国債を大量に抱え、アメリカにファイナンスしてくれている国でもあります。今、ニュースでの確認できますが、中国は米国債を大量に放出しながら、人民元の防衛を行っております。中国を追い込んで、中国が保有する米国債をもっと売り浴びせれば、米国債の暴落を引き起こし、金融市場はパニックを起こす危険性も孕んでおります。
トランプ氏がアメリカの利益だけを考えてそれを平気で行ってくれればくれるほど、世界経済が混沌していくことは自明です。多くの人々が、トランプ氏の財政政策にバラ色の未来を思い描いておりますが、アメリカが過去に自ら構築してきたグローバルな経済・金融システムは、トランプ氏が保護主義を行えば行うほど、ブーメランのようにアメリカの経済的な利益を損なうように戻ってきてしまうでしょう。
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2018年3月19日週の概況:
20日・21日に0.25%の利上げが予想されていたFOMCの開催を控えて、ドル円は緩やかに上昇。20日には世耕経済産業相が米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限から日本製品は除外される見込みとの発言を受けて、106 円台半ばまで値を伸ばした。21日にFOMCの声明が公表され、市場予想通り政策金利であるFFレートの目標レンジが0.25%引き上げられ、1.50%~1.75%に。やや景気見通しが上方修正されたことで、週間高値となる106.63 円まで上昇した。経済、金利見通しは上方修正されたものの、インフレ見通しがやや控え目な変更で、ドル円は下落に転じた。FOMC結果公表と前後して、トランプ政権が中国に対し知的財産権侵害への制裁を検討していることが伝わり、貿易戦争への件から約1円ほど円高へ。さらにトランプ大統領が対中貿易で制裁関税引き上げとなる通商法301条(スーパー301)を発動しに署名したことから下げを加速して、週間安値となる104.62円まで下落した。
実際のドル円:
104.62円~106.63円
2018年3月19日週の予想:
米中貿易戦争が懸念されるの中、27日に森友学園への国有地払い下げ問題における公文書偽造問題に関連して、佐川前国税庁長官の証人喚問実施が行われる。ドル円は一時的に103円台へ突入することがあっても不思議ではない。
ドル円予想レンジ:
102.50円~105.50円
定点観測:
ダウとドル円
ドル円と米2年債利回り
ドル・インデックスと米10年債利回り
VIX
金価格
原油価格
Shortman’s View:
いかにもアメリカ人らしいというか、西洋人らしいというか・・・
Bloomberg, トランプ大統領、中国経済への積極的関与の時代にピリオド
『経済問題での中国への建設的な関与という米国の時代は終わった。
これが、トランプ米大統領が500億ドル(約5兆2400億円)相当の中国製品への関税賦課を命じる大統領令に署名したことのメッセージだ。中国を市場志向型の主要経済国に仲間入りさせようという半世紀近くに及んだ試みの末に、トランプ氏は中国との貿易問題の目標を達成するためにアメではなくムチを選んだ。』
豚は太らせてから食べる方が旨い。
Good Duck!
Shortman