6月14日・15日に日銀の政策委員会・金融政策決定会合が行われた。
日本銀行, 当面の金融政策運営について
・金融緩和策の現状維持を賛成多数(賛成7名、反対1名・片岡氏)で決定
・誘導目標である長期金利(10年物国債金利)は「0%程度」
・短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)は「マイナス0.1%」
・日銀による長期国債買い入枠は、「保有残高が年80兆円増加するペースをめど」として現状枠を維持
・指数連動型上場投資信託(ETF)の保有残高を年約6兆円増を維持
・不動産投資信託(J-REIT)保有残高を年900億円増を維持
黒田総裁とその愉快な仲間(審議委員)達は高給をもらいながらも相変わらずの仕事しなさぶりですね。
ロイター, 日銀、金融政策の維持決定 物価判断「ゼロ%台後半」に下方修正
『金融政策運営は、2%の物価安定目標の実現を目指して「これが安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続する」ことをあらためて表明。経済・物価・金融情勢を踏まえて「物価安定目標に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う」とした。』
まだ2%の物価安定目標の実現を目指して、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続するとか言っているのかと思ったが、足下の物価は下落しているという。
この方もとうとう精神的に追い込まれてきたか?
Bloomberg, 黒田総裁、デフレ心理で正常化遅れ「信じなければ物価上がらず」
『黒田総裁は15年6月、ピーターパンの物語にある「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」という言葉を紹介した上で、大切なことは「前向きな姿勢と確信」だと述べた。3年たっても物価は停滞しているが、今日の会見では「信ぜよ、さらば救われんというつもりもないが、信じないのではなかなか物価も上がらないんじゃないかなという風には思っている」と前向きな姿勢を示した。』
おいおいマジかよ。
「信ぜよ、さらば救われんというつもりもないが、信じないのではなかなか物価も上がらないんじゃないかなという風には思っている」との発言らしいが、中央銀行総裁として物価が上昇しない理由がわからず、なす術がないって言っているようなもんだ。この発言を中央銀行の総裁がするとは、もはやまともな中央銀行総裁とは思えないし、今の金融政策は海図もコンパスもないまま大海原に航海に出てる船と同じだ。金融政策は機能しない。
都市伝説か!
それに金融政策を行う長たる者が、「信じるものは救われる」、「念ずれば通ず」的な発言をするなんて恥を知れ恥を。迷信や大衆心理を扇動することで金融政策が上手く機能するならば、誰でも日銀総裁なんてできるし、黒田総裁よりもむしろ有名なお笑い芸人、信仰宗教の教祖様の方に日銀総裁を委ねた方がむしろ効果があるんじゃないのかと思ってしまう。
本当に早くこの方には日銀総裁を引退してもらうことが、日本国民にとっては良いことだと思います。
今回の金融政策決定会合で議論されたようで、今更遅いんだ!と思うけどようやく一番大事なところの分析が始まろうとしている気がします。
ロイター, 上がらぬ物価、日銀総裁「生産性向上も一因」 7月会合で詳細分析
『日銀の黒田東彦総裁は15日、金融政策決定会合後の記者会見で、物価が想定通りに上がらない要因について、企業や家計に残るデフレ心理とともに企業の生産性向上が背景にあるとの見方を示した。7月に新たに示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、物価が勢いを欠く背景について詳細な分析を行う考えだ。』
黒田日銀総裁は就任と同時に打ち上げ花火を上げるのではなく、白川前日銀総裁が国債を購入し続け、日銀のバランスシートを対GDP比で世界で一番膨らませて来たにもかかわらず、何故デフレからの脱却ができなかったのかと、そうした状況がなぜ続くのかという理由・要因を分析するチームを作っておくべきだったのではないかなと思う。
どうもデフレの要因を生産性に求めている気配を感じる。既にバイアスがある中での調査・分析は危険ではないであろうか?
『実体経済が好調にもかかわらず、物価の伸びが鈍い要因について、黒田総裁は企業の生産性向上が一因と見る。非製造業を中心に省力化投資が進み、生産性が上がっていることは「長期的に見れば好ましい」とする一方、「短期的には物価が上がらないことのひとつの要素」と指摘した。』
しかし、果たして生産性だけの問題だろうか?
欧米先進国や新興国でも生産性は向上している。
僕が思うに実質賃金が過去20年以上もほぼ上がらない中、少子高齢化が予測され、増税しか見えない将来に何を期待してわざわざ今消費を増やそうとするのか疑問だ。こうした将来の不安を無くすことが、政治家の仕事であろう。政治家の仕事は中央銀行総裁にはできないし、将来の不安を無くすことなく、国民に消費を増やさせる魔法も無い。消費が増えなければ景気も回復しない。景気が回復しなければ賃金も上がらない。賃金が上がらなければ正常な物価上昇も期待できない。
FRBが出口戦略へ向けて本格的に舵を切って以降、日本経済の舵取りはFRB様におんぶに抱っこという他力本願寺戦略では難しいようだ(笑)
景気回復・デフレ脱却を日銀に丸投げした無責任な安倍総理と政権メンバーと、大風呂敷を広げた元財務官僚出身の黒田日銀総裁とその愉快な仲間達もそろそろそのツケを支払わないといけないタイミングが来たようだ。
おっと、そのツケを払わされるのはいつの時代も平民(国民)です。
本当にご愁傷様です!
2018年6月11日週のドル円概況:
トランプ大統領がG7の共同声明を承認しなかったことで市場は貿易摩擦問題への懸念から、ドル円は11日(月)に週間安値となる109.20円まで下落した。その後は12日(火)に歴史的な米朝首脳会談が行われたことが好感されて、ドル円は110円台半ばまで値を戻した。13日(水)にはFOMCの結果が公表され、市場予想通り政策金利であるFFレートが0.25%引き上げられ、政策誘導目標金利は1.75%~2.00%となった。市場は利上げを織り込み済だったが、声明文がタカ派的であったことや、メンバーの利上げ予想が年3回から年4回へ引き上げられたこともあり、ドル円は50銭以上値を伸ばし110.84円まで急伸した。その後、ECB理事会で9月末で終了とされていた資産購入プログラムが年内終了に引き伸ばされ、さらには来年6月に利上げが予想されていたが、来年9月以降となったことからドルが大きく買い戻され、ドル円は15日(金)に週間高値となる110.90円まで上昇した。
先週の予想レンジ:
107.50円~111.50円
2018年6月11日週の実際のドル円:
109.20~110.90円
2018年6月18日週のドル円予想:
米朝首脳会談、FOMCと重要イベントは無事に通過したので、今後の焦点は通商政策かなと。トランプ政権の保護主義的政策を強める可能性が高い。対中国だけでなく、G7での対立が示すように対EUに対する圧力も強めている。射高め、ドル安・円高を招きやすい。また、トランプ政権が中国への制裁を課したことから、中国側も報復関税を発動する予定で、通商政策を巡る懸念から、ドル安・円高を招き安いので注意が必要。もっともECBが低金利を秋まで継続する姿勢を示しており、今週も対ユーロでドルは堅調に推移する可能性高いので、ドル円は上下共に動きが出難そう。ただ、米長短金利差の縮小や、新興国通貨安も円高圧力となるので、やや円高方恋へバイアスを置いておく。
2018年6月18日週のドル円予想レンジ:
108.50円~111.50円
定点観測:
ダウとドル円
ドル円と米2年債利回り
ドル・インデックスと米10年債利回り
VIX
金価格
原油価格
Shortman’s View:
米朝首脳会談を控えた先週日曜日以降、トランプ大統領がG7での署名を拒否したことから貿易戦争への懸念が高まっている。
ロイター, G7首脳宣言採択、トランプ大統領が一転拒否 自動車関税も示唆
そして中国とはとうとう対決のゴングが鳴った。
ロイター, 米、7月から対中関税導入 総額500億ドル規模 中国も対抗措置発表
中国の次はEUとバチバチしそうだ。
ロイター, 独首相、米との貿易対立で強硬姿勢を示唆 自動車やIT分野巡り
トランプ政権が保護主義的な通商政策を採用したことで、貿易戦争への懸念が急速に高まっている。
円安信者はこれが日本へ飛び火してこないことを祈った方が良い。