おはようございます。
Shortmanです。
ドル円相場は相変わらず動かない。
こういう時は長期的な未来を見つめておこう。
景気循環等の分析で著名な経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが、 資本主義の原動力は創造的破壊にあると説いていたが、 最近は各国中銀の低金利政策で創造的破壊が生じていないようだ。
『通常、急速な景気後退後に経済が回復する理由は明らかだ。
景気停滞時には、多くの企業が経営の建て直しを図り、 赤字企業は行き詰まる。その結果、資本と労働者は、 より生産的な事業に再分配される。 旧式の設備は最新テクノロジーに、 時代遅れの慣行は新たな組織形態に置き換えられる。 ビジネスの効率性が高まれば、投資も増え、雇用を生む。
倒産は回復にとって不可欠だ。「倒産のない資本主義は、 地獄のないキリスト教のようなものだ」という格言もある。 オーストリアの著名経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは、 資本主義の原動力は創造的破壊にあると説くが、 まさにそれを体現している。
この過程において、金利は必要不可欠な役割を担う。 シュンペーターの言う「金利の真の機能」は、経済活動に対する「 ブレーキ、あるいは支配者」としての役割である。 ハードルレート(投資判断となる利回り)を設定することにより、 金利は資本の利用を制限する。』
低金利故に倒産が少ないのだ。その結果として収益性の乏しい、 本来であれば景気後退期に倒産すべき企業がゾンビ企業として存続 し続けているらしい。
『米労働省労働統計局によると、景気が回復しても、 新たなビジネスによって雇用は以前ほど創出されてはいない。 米国経済は長きにわたり過剰な生産能力を抱えていたにもかかわら ず、過去の同様な時期と比べて、倒産する企業が少ない。 企業の利子支払い費用はかつてないほど低くなっているが、 債務返済に苦労する米ゾンビ企業が増えている。』
ゾンビ企業の存在が労働生産性を低くし、 銀行の新規融資を難しくしている。
『今年の経済成長は上向き、賃金も上昇している。しかし、この「 トランプ景気」が崩壊した場合、新たな「大恐慌」 から世界を救ったリーマン後の中央銀行当局者は、その代わりに「 大停滞」をもたらしたとの歴史の審判を受けるのかもしれない。』
FRBや各国の中央銀行が、目の前の危機を根本から解決せず、 小手先の金融政策で乗り切っても、 FRBが次の危機を拡大させているだけかも知れない。
がん患者のがんを切除しても、 その患者ががんになるような生活習慣を改善し、 がんになり易い体質を改善しない限り、 根本的な治療にはならない。
何か西洋医学とそっくりだな。
2018年9月10日週のドル円概況:
イタリアの財政赤字への懸念が和らいだことや、 トルコ中銀が大幅に金利を引き上げたこと、 英国のEU離脱問題で無秩序な離脱への懸念が和らいだことで、 ドルと円が売られ、ユーロやポンドなどが堅調に推移した結果、 ドル円もクロス円のつられてやや円安方向へ。また、 NY株式市場が堅調に推移したことも、ドル円を支援した、 週初9月10日(月)に週間安値となる110. 84円をマークした後は、狭いレンジながらも徐々に円安になり、 14日(金)には週間高値となる112.16円まで上昇した。 先週のレンジに比べて約45銭前後上方へシフトしたようだ。
2018年9月10日週の予想レンジ:
108.50円~112.50円
2018年9月10日週の実際のドル円:
110.84円~112.16円
2018年9月17日週のドル円予想:
ドル円は今週も底堅くも上値も重い展開で、 相変わらず動きが小さな相場展開を想定している。 トランプ大統領の対中国への追加関税が発動され、 中国が人民元安で対抗しようとすると、 アジア通貨や新興国通貨が下落し、 ドル高へ向かう可能性が高いが、円も買われてしまうために、 ドル円は底堅い推移が見込めるものの、円高方向への警戒も執拗。 9月18日・19日に日銀の金融政策決定会合が行われるが、 現状維持を想定し、市場へのインパクトは皆無と見る。ただ、 14日に安倍総理が日銀の異次元緩和に関して、「 ずっとやっていいとは全く思っていない」という発言しており、 この総理の発言に関連した質問に対して、 日銀の黒田総裁の発言が注目される。また、 20日に自民党総裁選挙が行われ、 安倍総理の3選が確実視されているが、 万が一敗れることがあれば円高方向へ加速する可能性もある。 最後に、米中貿易摩擦問題に注目が集まっているが、 米国の対日姿勢は緩んでおらず、こちらも警戒が必要。
※参考:
『安倍晋三首相は14日、 自民党総裁選に向けた日本記者クラブ主催の公開討論会で、 日本銀行の異次元緩和について「 ずっとやっていいとは全く思っていない」と述べた上で、 自らの在任中に出口戦略への道筋をつけたい考えを示した。 具体的な時期や手法は「黒田東彦総裁に任せている」と語った。』
2018年9月17日週の予想レンジ:
109.00円~113.00円
定点観測:
ダウとドル円
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ドル円と米2年債利回り
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ドル・インデックスと米10年債利回り
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VIX
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金価格
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原油価格
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Shortman’s View:
私は陰毛説、陰謀説が好きだ。
中間選挙を控え、 米国ではトランプ政権のイメージを国内で下げようと反トランプ陣 営が汗水たらしているようだ。
先々週NYTにこんな記事が出た。
ほー!自らをレジスタンスと呼ぶか(笑)
内容はトランプ政権の高官が匿名を条件に寄稿し、 同政権の多数の高官がトランプ大統領の言動の危うさを認識し、 政策の一部を阻止しようと政権内で画策してきたと記した。
これを受けてバロン米首席戦略官が「クーデター」 との見方を示した。
『バノン氏は「想定し得る最も深刻な事態となった。 これは国家制度に対する直接攻撃だ」と強調。「 これはクーデーターだ」と続けた。』
もし政権内部の高官が本当に寄稿したのなら確かに「クーデター」 だと思う。
私は前々から既存メディアの匿名の情報源をベースにした記事を批 判している。
そして、既存メディアの垂れ流す情報を鵜呑みにせず、 疑いの目を持って読んで欲しいと願っている。
このコラムを書いた筆者は自ら実名で政権を批判した人物であり、 そのことが原因で米国務省を解雇された経験を有している。
『政策を巡り意見が対立するのは、 トランプ政権に限った話ではない。また、能力の問題でもない。 レーガン氏は耄碌(もうろく)していると思われていたし、 ジョージ・W・ブッシュ氏は間抜けだと思われていた。
だが、悪しき政策を進めることに対する良心の呵責は、 政策の足を引っ張ろうとコソコソと政権内で策動する人物によって ではなく、米国を強く信じるあまり、 自らの声を届けるために生命や財産、 名誉を代償として差し出してしまうような善良な人物によって解決 されるべきなのだ。
NYT匿名コラムの書き手は、 政権関係者がトランプ氏の行き過ぎを阻止していると主張している が、詳細については何ら明らかにしていない。私たちしては、 彼らが何をやっているにせよ、 大統領が望んでいることよりもマシであるに違いないと想定するし かない。』
良いことを書ているし、次もその通りだと思える。
『政府機能を内側から妨害するような行為は、 海外情報機関の関係者に金で買われた米国当局者がやることだと私 たちは理解している。私たちは、 政権内部のルートを通じて反対を主張し、時には、 きちんとした形で辞任して、問題を人々の目に触れさせたのだ。
米国が致命的なリスクに晒されていると考える政府部内の人々には 、 著名ジャーナリストに噂話を流す以上のことをやっていただこう。
党利党略で動く工作員と見られたくなければ、辞任し、証言し、 証拠となる文書を提示する必要がある。』
マジでその通りだ。
そして読者に対してもこのように述べている。
『こうしたことが何か起きるまでは、我々は匿名の「 レジスタンス」や、 信頼性に欠ける匿名の情報源にいっさい関心を向けるべきではない 。米国という国家は、 ホワイトハウス西棟でのポストよりも重要である。 本当に脅威が迫っているなら立ち上がればいい。 そうでなければ口を閉ざすべきだ。』
全くその通り。
何度も言うがメディアの情報は恣意的だから、 鵜呑みにするのは危険ということを毒者は理解してほしい。
陰毛説に戻るが、 私はNYTの匿名の寄稿文も中間選挙前にイメージダウンを狙う反 トランプ陣営の陰謀だと思っている。
そしてFBIのミューラー特別捜査官の件もトランプ大統領のイメ ージダウンを狙う精力の狡賢い戦略の一つだと思う。
『トランプ米大統領の元選対本部長、ポール・ マナフォート被告は、マネーロンダリング(資金洗浄) などでの有罪を認めた。 2016年米大統領選へのロシア介入疑惑を捜査するモラー特別検 察官のチームは、 同被告が捜査に協力していることを明らかにした。』
今のところFBIのこの特別捜査官はトランプ大統領とロシアの不 正介入のつながりに関して何一つ証拠を示していない。
もうそろそろ幕引きを考えた方が良いのでは?
今週もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
Good Duck!
Shortman