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為替週報(2019年3月11日)

 

おはようございます。
Shortmanです。

 

8日の為替日報で、現代金融論、通称MMT(Modern Monetary Theory)について、以下のようなことを書きました。
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現代金融論、通称MMT(Modern Monetary Theory)とは、『貨幣的主権を持つ政府は貨幣の独占的な供給者であり、物理的な形であれ非物理的な形であれ任意の貨幣単位で貨幣の発行を行うことができる。そのため政府は将来の支払いに対して非制限的な支払い能力を有しており、さらに非制限的に他部門に資金を提供する能力を持っている。そのため、政府の債務超過による破綻は起こりえない。換言すれば、政府は常に支払うことが可能なのである』(Wiki)ということで、簡単に書くと政府は政府の借り入れが自国通貨建であれば、その政府は政府紙幣を印刷して借金を賄うことができ、破綻はあり得ないと主張する理論。
財政ファイナンスも含めてこういうことを主張する方々が最近増えている。
昨今のようなデフレ下の経済では政府が無制限に紙幣を印刷してもなんの弊害も無さそうな気がするが、果たしてどうなのだろうか?
ハイパー・インフレを経験していない世代はその苦しみがわからない。その苦しさの経験から無節操な財政ファイナンスに規律を課した歴史を忘れている。
『米資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は「現代金融理論(MMT)」を支持しない考えを示した。
フィンク氏は7日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、MMTは「くず」だと一蹴。「財政赤字は非常に重要な問題だと私は確信している。財政赤字は金利をずっと高く、持続不可能な水準に押し上げる可能性があると私は強く信じている」と述べた。
MMTを支持するエコノミストらは、米国は借り入れが自国通貨建てであることから、紙幣を印刷して借金を賄うことができ、破綻はあり得ないと主張する。アレクサンドリア・オカシオコルテス氏ら当選1期目の民主党議員らが、グリーン・ニューディールや国民皆保険など社会政策の原資の1つとして支持に回っている。
米議会予算局(CBO)によると、米財政赤字は数年以内に1兆ドルを突破するとみられている。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先週、MMTを「誤り」だと指摘。サマーズ元財務長官やノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏も批判している。』
なぜダメなのか?
『フィンク氏は「MMTは財政赤字が害をもたらし多過ぎると分かるまで、借り入れを続けられるという理論だ。親である私からすれば、子どもの素行が悪くてもずっとただそれを見ているだけで、手が付けられなくなるまで放っておくことと同じだ。良いアプローチではないと思う」と述べた。』
良いことを言う。
手が付けられなくなる時に何が起こるか?
インフレは極めて財政的な問題で、政府の信用が損なわれた時には必ずインフレが襲う。

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個人的にはこの新金融理論を全く信じていないが、これを都合よく利用したりする輩が多いので、備忘録の為に批判的なことを書き続けることにした。
今度はロイターでもこの話題が取り上げられている。
『ケルトン教授は、政府予算や財政赤字は完全雇用やインフレを実現するために積極利用すべしという「現代金融理論(MMT)」の強固な提唱者で、2016年の前回大統領選ではバーニー・サンダース上院議員の顧問を務めた。
ケルトン氏の主張に対し、クルーグマン氏は「支離滅裂」と一蹴し、サマーズ氏はワシントン・ポストのコラムで新たな「ブードゥー経済学(魔術のようで理論的に怪しいとの意味)だ」と批判した。
サマーズ氏はCNBCテレビで「全ての米国人が支持するはずの考えを1つ挙げるなら、それは算術の法則だ」とも発言。これに対してケルトン氏は5日、ツイッターに「この論争では負ける気がしない」と投稿するなど事態は白熱化している。 』
しかし、このご時世に「ブードゥー経済学(魔術のようで理論的に怪しいとの意味)」が注目を浴びるのか?
『米国政府が抱える債務は22兆ドルに膨らみ、義務的経費や利払いなどで慢性的な財政赤字が生まれている状況を踏まえ、あらゆる政治グループに属する経済学者と米連邦準備理事会(FRB)の専門家は、財政は既に持続不可能な経路をたどっているので、この先は慎重な運営が求められると警鐘を鳴らす。
こうした中で、ケルトン氏の理論を用いれば、米国の債務や財政赤字の活用法、またFRBの果たす役割に関する見方はがらりと変わってくる。つまり民主党の大統領候補指名レースに参加している人々が論じているような政策の実現を後押ししてくれる。
これほどの発想転換は、平時なら思いもよらないだろう。しかし2007-09年の金融危機から10年が経過し、サマーズ氏や国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミスト、オリビエ・ブランチャード氏らいわゆる主流派の経済学者ですら、政府の財政政策運営について再考を迫られている。
なぜならFRBによる大規模な債券買い入れや大型減税を実施しているのに物価や金利が跳ね上がらない局面では、もっと借金をして生産的な公共事業に投資しても安心だろう、という意見が一般的になってきたからだ。 』
多額の財政赤字を抱えながらも財規模減税をしても、中央銀行が大規模な債券買入(量的緩和)をしても物価も金利も上がらないので、政策当局者にとってはある種魅惑的な魔術と言うか、魔法のような政策アイディアに思えるのであろう。
『オバマ前政権のCEAスタッフだったベッツィ・スティーブンソン氏はツイッターでMMTについて「右も左もない。普通の人々が興奮が冷めた時点で代償を支払うような魔法の考えだけが存在している」と投稿した。』
その通りだ。
物価も金利も上がらない理由は様々な意味での構造変化のせいでもあるが、一番の理由は政策当局者(国家元首や中央銀行家、官僚達)が信用に値するとまだ市場が信じているからだと個人的には思っている。。
前から何度も書いているが、インフレは極めて財政的な問題で、政府の信用が損なわれた時には必ずインフレが襲う。
政策当局者(国家元首や中央銀行家、官僚達)等が、財政拡大を正当化するような 無責任かつ間抜けな「ブードゥー経済学(魔術のようで理論的に怪しいとの意味)」  を乱用すれば、恐らくだが危惧していることが現実になると思います。

2019年3月4日週のドル円概況;

2月の米ISM非製造業景気指数が予想よりも強く5日に112.17円の週間高値をマークした。6日に米商務省から12月の米貿易収支が公表され、約10年ぶりとなる大幅な貿易赤字額を記録したことや、米ADP雇用統計が予想よりも弱かったことや、ベージュブック(米地区連銀経済報告)で景気減速が多くの地域で確認されたことや、OECD(経済協力開発機構)が世界経済の見通しを再び下方修正したことでドルが売られやすい地合いに。7日にはECB理事会が行われ、政策金利を据え置き、フォワードガイダンスを修正して年内利上げを見送り、さらには新たに条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)を導入され、ドル高ヨーロ安も、景気後退懸念からリスク回避の円買いも加わり、円買いがサポートされた。8日金曜日には2月の米雇用統計が公表されるも予想よりも弱い内容でドル売り・円買いとなり、週間安値となる110.77円まで円高が進行した。

2019年3月4日週の予想レンジ:

109.50円~112.50円

2019年3月4日週の実際のドル円:

110.77円~112.17円

2019年3月11日週のドル円予想:

今週は1月の米小売売上高、2月の米消費者物価指(CPI)、1月の米耐久財受注、2月の米鉱工業生産、3月のミシガン大消費者信頼感指数等の指標に大きく反応する可能性が高い。また、12日には英国でEU離脱協定案の採決が行われる。その結果次第ではリスク回避ムードが大きく進行するかも知れない。さらには14日・15日で日銀の金融政策決定会合も開催される。政策は変更はないと予想している、黒田日銀総裁が記者会見で追加緩和を匂わせるかもしれない。しかし、金融政策の効果や持続性に疑問が投げかけられていることと、金融緩和の副作用が懸念される中では量的緩和を匂わしても円安効果は極めて限定的であろう。

2019年3月11日週のドル円予想レンジ:

119.00円~112.00円

定点観測:

ダウとドル円

ドル円と米2年債利回り

ドル・インデックスと米10年債利回り

VIX

金価格

原油価格

Shortman’s View:

先週の週報にはこんなことを書きました。
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『大統領は「私は強いドルを好むが、米国に素晴らしく作用するドルが望ましいと考え、米国が他国とビジネスを行うことができなくなるほどの強過ぎるドルは望んでいない」と語った。
トランプ大統領はパウエル議長の名前を直接挙げることはなかったものの、「FRBの利上げを好むジェントルマン」として言及。「FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」と話した。
その上で大統領は「基本的にインフレはない」とし、金利がかつての水準に据え置かれ、量的引き締めが行われることがなければ、「若干のドル安につながることを想像できないか」と論じた。』
昨年からのトランプ大統領のFRB批判は正しいと個人的には思っている。
なので、トランプ大統領のこんな発言も出たし、先週のレンジ上限の112円を超えたし、前回のシグナルは様子見しましたが、ちょうどシグナルも出たし、漬物を仕込んでみました。
自己責任ですので・・・
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8日(金)は2月の米雇用統計が公表されましたが、予想よりも弱くドルが売られましたので、調子に乗って個人的なターゲットを書いてみました。
『概ね先日の瓜の漬物はド・ストライクだったと思いますが、問題はこの後です。長期的には60円、78円、90円とか面白いですが、そこまで円高が進行するのかどうか亀のみぞ知るの世界ですし、そもそも目標値に関して懐疑的な方々も多いと思うので、皆様のリスク許容度に応じてですが、参考までにターゲットを記載します。①110円、②108円、③105円。あくまでも参考値なので、そのターゲットまで届かなくても何の責任も負いませんので、自己責任でお願いします。』
当たるかどうかはわかりませんが・・・
今週もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

Good Duck!
Shortman

 

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