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為替週報(2019年3月18日)

 

おはようございます。
Shortmanです。

 

私は常々インフレは財政的な要因で生じると主張している。
日本やアメリカの中央銀行がパンパンにバランスシートを膨らましてもインフレ率が上昇しないのは、①人口や社会、経済等の構造変化による要因と、②政府の財政規律に対する姿勢が信頼に足ると思われていることが大きいと覆われるからだと思っている。
だから現代金融論、通称MMT(Modern Monetary Theory)を全く信じていない。
表面上見える現象でも、裏側のメカニズムが表面上に見えることと違うということは多々あること。
銀座の水割りが高いのは土地が高いからか?
違います。
銀座では高い値段の水割りを飲む人が多いから、銀座で商売をする人が多くなり、結果として銀座の土地の値段が高くなっている訳です。
今回も同様で、日本やアメリカの中央銀行がパンパンにバランスシートを膨らましてもインフレ率が上昇しないのは、  『貨幣的主権を持つ政府は貨幣の独占的な供給者であり、物理的な形であれ非物理的な形であれ任意の貨幣単位で貨幣の発行を行うことができる。そのため政府は将来の支払いに対して非制限的な支払い能力を有しており、さらに非制限的に他部門に資金を提供する能力を持っている。そのため、政府の債務超過による破綻は起こりえない。換言すれば、政府は常に支払うことが可能なのである』ということではないと私は考えます。
そうではなくて、政府が将来の将来の支払いに対して責任を負うという姿勢を貫いている範囲(その金額がどの程度かは不明ですが、そう信じられている間)では、政府の債務超過に対する人々の視線は寛大で、なかなかインフレ率が上昇しないと思われます。
『バークシャー・ハサウェイを率いるバフェット氏は15日の電話インタビューで、「MMTを支持する気には全くなれない」と指摘。赤字支出はインフレ「急上昇」につながりかねず、「危険な領域に踏み込む必要はなく、そうした領域がどこにあるのか正確には分からない」と語った。』
11日の為替日報を再掲しておきます。参考程度に、いや暇潰程度にお読みくださいませ。
『8日の為替日報で、現代金融論、通称MMT(Modern Monetary Theory)について、以下のようなことを書きました。
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現代金融論、通称MMT(Modern Monetary Theory)とは、『貨幣的主権を持つ政府は貨幣の独占的な供給者であり、物理的な形であれ非物理的な形であれ任意の貨幣単位で貨幣の発行を行うことができる。そのため政府は将来の支払いに対して非制限的な支払い能力を有しており、さらに非制限的に他部門に資金を提供する能力を持っている。そのため、政府の債務超過による破綻は起こりえない。換言すれば、政府は常に支払うことが可能なのである』(Wiki)ということで、簡単に書くと政府は政府の借り入れが自国通貨建であれば、その政府は政府紙幣を印刷して借金を賄うことができ、破綻はあり得ないと主張する理論。
財政ファイナンスも含めてこういうことを主張する方々が最近増えている。
昨今のようなデフレ下の経済では政府が無制限に紙幣を印刷してもなんの弊害も無さそうな気がするが、果たしてどうなのだろうか?
ハイパー・インフレを経験していない世代はその苦しみがわからない。その苦しもの経験から無節操な財政ファイナンスに規律を課した歴史を忘れている。
『米資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は「現代金融理論(MMT)」を支持しない考えを示した。
フィンク氏は7日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、MMTは「くず」だと一蹴。「財政赤字は非常に重要な問題だと私は確信している。財政赤字は金利をずっと高く、持続不可能な水準に押し上げる可能性があると私は強く信じている」と述べた。
MMTを支持するエコノミストらは、米国は借り入れが自国通貨建てであることから、紙幣を印刷して借金を賄うことができ、破綻はあり得ないと主張する。アレクサンドリア・オカシオコルテス氏ら当選1期目の民主党議員らが、グリーン・ニューディールや国民皆保険など社会政策の原資の1つとして支持に回っている。
米議会予算局(CBO)によると、米財政赤字は数年以内に1兆ドルを突破するとみられている。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先週、MMTを「誤り」だと指摘。サマーズ元財務長官やノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏も批判している。』
なぜダメなのか?
『フィンク氏は「MMTは財政赤字が害をもたらし多過ぎると分かるまで、借り入れを続けられるという理論だ。親である私からすれば、子どもの素行が悪くてもずっとただそれを見ているだけで、手が付けられなくなるまで放っておくことと同じだ。良いアプローチではないと思う」と述べた。』
良いことを言う。
手が付けられなくなる時に何が起こるか?
インフレは極めて財政的な問題で、政府の信用が損なわれた時には必ずインフレが襲う。

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個人的にはこの新金融理論を全く信じていないが、これを都合よく利用したりする輩が多いので、備忘録の為に批判的なことを書き続けることにした。
今度はロイターでもこの話題が取り上げられている。
『ケルトン教授は、政府予算や財政赤字は完全雇用やインフレを実現するために積極利用すべしという「現代金融理論(MMT)」の強固な提唱者で、2016年の前回大統領選ではバーニー・サンダース上院議員の顧問を務めた。
ケルトン氏の主張に対し、クルーグマン氏は「支離滅裂」と一蹴し、サマーズ氏はワシントン・ポストのコラムで新たな「ブードゥー経済学(魔術のようで理論的に怪しいとの意味)だ」と批判した。
サマーズ氏はCNBCテレビで「全ての米国人が支持するはずの考えを1つ挙げるなら、それは算術の法則だ」とも発言。これに対してケルトン氏は5日、ツイッターに「この論争では負ける気がしない」と投稿するなど事態は白熱化している。 』
しかし、このご時世に「ブードゥー経済学(魔術のようで理論的に怪しいとの意味)」が注目を浴びるのか?
『米国政府が抱える債務は22兆ドルに膨らみ、義務的経費や利払いなどで慢性的な財政赤字が生まれている状況を踏まえ、あらゆる政治グループに属する経済学者と米連邦準備理事会(FRB)の専門家は、財政は既に持続不可能な経路をたどっているので、この先は慎重な運営が求められると警鐘を鳴らす。
こうした中で、ケルトン氏の理論を用いれば、米国の債務や財政赤字の活用法、またFRBの果たす役割に関する見方はがらりと変わってくる。つまり民主党の大統領候補指名レースに参加している人々が論じているような政策の実現を後押ししてくれる。
これほどの発想転換は、平時なら思いもよらないだろう。しかし2007-09年の金融危機から10年が経過し、サマーズ氏や国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミスト、オリビエ・ブランチャード氏らいわゆる主流派の経済学者ですら、政府の財政政策運営について再考を迫られている。
なぜならFRBによる大規模な債券買い入れや大型減税を実施しているのに物価や金利が跳ね上がらない局面では、もっと借金をして生産的な公共事業に投資しても安心だろう、という意見が一般的になってきたからだ。 』
多額の財政赤字を抱えながらも財規模減税をしても、中央銀行が大規模な債券買入(量的緩和)をしても物価も金利も上がらないので、政策当局者にとってはある種魅惑的な魔術と言うか、魔法のような政策アイディアに思えるのであろう。
『オバマ前政権のCEAスタッフだったベッツィ・スティーブンソン氏はツイッターでMMTについて「右も左もない。普通の人々が興奮が冷めた時点で代償を支払うような魔法の考えだけが存在している」と投稿した。』
その通りだ。
物価も金利も上がらない理由は様々な意味での構造変化のせいでもあるが、一番の理由は政策当局者(国家元首や中央銀行家、官僚達)が信用に値するとまだ市場が信じているからだと個人的には思っている。。
前から何度も書いているが、インフレは極めて財政的な問題で、インフレは極めて財政的な問題で、政府の信用が損なわれた時には必ずインフレが襲う。
政策当局者(国家元首や中央銀行家、官僚達)等が、財政拡大を正当化するような 無責任かつ間抜けな「ブードゥー経済学(魔術のようで理論的に怪しいとの意味)」  を乱用すれば、恐らくだが危惧していることが現実になると思います。』
私たちが古い理論に固執している訳ではない。MMTのような魔法があればそれはそれに越したことはないが、そんな阿呆は、失礼、魔法が現実の世に存在しないことは皆さんも分かっているはずだ。
IMFは南米ベネズエラのインフレ率は今年、1000万%に達すると予測しているが、その背景には政治的な混乱があるが、ベネズエラの経済統計データが入手できないが、2014年には5000億ドル近くまであったGDPは、現状では恐らく1000億ドル程度まで下がっており、債務の履行が難しい状況だ。実際対外債務のほぼすべてをデフォルト(債務不履行)にしており、政府の財務は1400億ドルを超えているという。
現代金融論、通称MMT(Modern Monetary Theory) が正しければベネズエラにようにはならないはずだが・・・

2019年3月11日週のドル円概況:

11日に公表れた1月の米小売売上高がプラスに転じ、NY株価が反発しドル買いに。その後13日にEU離脱を巡る英国議会の採決を受けて合意無き離脱が回避されたことで欧州通貨が買い戻されてドルになるも、全体的にはリスク選好的な地合いとなって、ドル円は底堅く推移した。15日の日銀の金融政策決定会合では追加緩和策が打ち出されずドル円の上昇には結びつかなかった。

2019年3月11日週の予想レンジ:

119.00円~112.00円

2019年3月11日週の実際のドル円:

110.86円~111.89円

2019年3月18日週のドル円予想:

今週は19日(火)・20日(水)でFOMC(連邦公開市場委員会)が開催されます。政策金利の変更はないものの、今後の経済見通しが公表されるので、その見通しに変化があれば、、と政策金利の予測(ドットチャート)が公表されれば、今後の金利に対する期待形成に変化が生じて、株式市場や債券市場が動く可能性があるので、結果を冷静に見極めたいところ。また英国のEU離脱に関する協定を採決するが、長期の延期を決てもEUとの協議は難航しそうで、先行きは不透明なこともあり、リスク選好が持続するかを確認したいところ。

2019年3月18日週のドル円予想レンジ:

119.00円~112.00円

定点観測:

ダウとドル円

ドル円と米2年債利回り

ドル・インデックスと米10年債利回り

VIX

金価格

原油価格

Shortman’s View:

1+1=2
だけど、
-1+-1=-2
だということを忘れてはいけない。
『ドイツ銀行の経営首脳は、経営難の2行を合併させ、持続可能な世界的規模の銀行を創り上げたいというドイツ当局者の望みに屈した。しかし、たとえ両行が合併で合意したとしても、懐疑的な顧客や投資家の問題はもちろんのこと、大規模な人員削減や政治の混乱、欧州経済の悪化、トランプ大統領との取引を巡る米当局捜査、非常に困難な統合といった難題が待ち受けている。』
日本興業、第一勧業、富士の3銀行が2000年秋に共同持ち株会社(現みずほフィナンシャルグループ)を設立すると発表したのは、今から約20年前の1999年8月20日だ。
マイナスとマイナスを足すだけではマイナスが増えるだけな気がするが・・・

 

Good Duck!
Shortman

 

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