おはようございます。
Shortmanです。
ロイター, 米シェール企業ホワイティング経営破たん、原油急落が打撃
『米シェールオイル生産のホワイティング・ペトロリアム(WLL.N)は1日、米連邦破産法第11条(民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。原油相場の急落による上場企業の破綻は初めて。』
原油価格の下落でとうとうですね。
サウジかロシアかどちらが仕掛け人かわかりませんが、シェール企業を潰すには不意採算価格まで原油価格を下落させることだと過去に書いてきましたが、ようやくそんなことが起き始めたようです。
2016年の記事を再掲しておきます。
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今年の冬は寒いと教わったので、このレポートでも今年の冬は寒いから原油は強くなるよと含みを持たせておりますが、2013年にこんな記事が出ています。
ナショナル・ジオグラフィック, 春の寒さ、北極圏の海氷の縮小が原因か
簡単に言うと、海氷面積が減ると極寒のシベリア高気圧が寒い風を日本の方に向けてヒュー!ヒュー!と送りつけてくる。その上、北極振動が起こると寒さのダブルパンチを食らうので、北半球はヤバい状況に陥るらしい。
そして、今年はこの北極圏の海氷が史上最大の融解を起こし、海氷面積は史上最少の面積とだという。
ナショナル・ジオグラフィック, 北極海で過去最大の海氷融解、メカニズム明らかに
こんなところからも今年の冬はめちゃんこ寒いと推測されるので、今年の冬は原油価格が上昇する可能性が高い。
わかり易い。
その上で、OPECの総会以降、原油価格が上昇しております。
Bloomberg, OPECは原油在庫縮小に重点-60ドルへの道筋目指す
まぁ、60ドルなんて相場になったら、その直後から値崩れする可能性がある。今年の冬が寒いことや、OPECで価格カルテルが出来ても、値段はそれほど上がらないかなと思っている。
米国のシェール企業はヤバい。やはりこんなニュースが出てきた。
ロイター, アングル:OPECを脅かす米シェール業者、増産で対抗か
奴等は値段が上がれば上がるほど供給を増やす。
私は今年の1月14日のレポートをベースに4月14日にこんなレポートを書きました。
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1月14日の為替日報を読み直して欲しい。
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Shortman’s View ②:
原油価格の下落が止まらない。サウジアラビアを中心にOPECで減産に踏み切らない理由は主に2つ。1つは、世界第二位の石油消費国である中国の景気減速が大きい。もう1つはサウジアラビア様のご意向だ。
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出所: BP, Statistical Review of World Energy 2015
1つ目の中国経済の景気悪化に関しては、日本の2倍以上の石油を消費する中国の景気が悪化すれば、当然石油需要が減少してしまうのは誰の目にも明らかだ。大事なことは、原油価格が低下すると景気が活況になる訳ではなく、景気が悪化すると原油の需要が低下して、価格価格が下落してしまうことだ。したがって、原油価格の上昇を期待するには、中国経済の復活が欠かせない。そして、今の状況で米国の景気の鈍化が確認され始めたら、利上げどころの騒ぎではない。
こちらはすぐに景気が回復する訳ではないので、原油価格の上昇はもううこし先になると考えられる。
もう1つはサウジアラビアを中心とした中東産油国(まとめてOPEC)が、米国が行っているシェール・オイル(やシェール・ガス)対抗策と考えられる。OPECが減産でまとまらないのは、サウジアラビアが米国のシェール・オイルを採算割れに追い込むだけでなく、操業停止点まで追い込もうとしているからと考えられる。昔OPECが減産して、原油価格が高騰したら採算コストが賄えるので、海底油田の収益が上がるようになってしまった結果、北海油田が80年代から稼働し始める。
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出所:世界経済のネタ帳
その後、1986年に1バレル=15ドル近くまで下落した際も、1998年に1バレル=14ドル台まで下落して時も北海油田は操業を続けた。つまり、OPECは北海油田を潰そうとして低価格競争状態になっても、北海油田を操業中止に追い込むことは出来ていない。つまり、損益分岐点まで値段を下げるだけでは意味がなく、操業中止点まで価格を下げないといけない。本当に競争相手を潰そうと思えば、価格競争を徹底して繰り広げ、操業中止点まで価格を下落させ体力勝負に持ち込むことだ。
恐らく、サウジの採掘コストは1バレルあたり数ドルであろう。一方の米国のシェール・オイルの採掘コストは数十ドルであろう。原油価格が高値で推移すれば採算が取れるが、そろそろ危険水域ではないだろうか。しかし、短期的にその価格を付けても、競争相手は復活してしまいます。相手の息の根を止めるには、それなりの期間低価格に留めておく必要があろう。
こちらもそう考えるとまだまだ原油の価格は上昇しそうに思えない・・そうなると今後しばらくマーケットは盛り上がりに欠けるかも知れない。
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産油国やオイル関係者は昔から魑魅魍魎の集まりだからね。ロシアは信用できないし、他も皆同じ。産油量を正確に測定するためには、タンカーの衛星からの追跡と双眼鏡なんだ。陸地をパイプラインで繋げてしまうと、正確な産油量は測定できないから、結局は裏で原油が供給されて、値段は下落する。仮に減産に合意して値段が上がれば、機敏なシェール企業が操業を再開して、値崩れする。どのみちそんなもんだ。
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サウジアラビアは英国の北海油田潰しでも失敗し、米国のシェール企業潰しでも失敗した。
サウジが失敗してくれたおかげで、QE5みたいな無謀なバブル化が生じない限り、原油価格は以前のような高値には当面届かないだろうと思います。
喧嘩は相手が二度と立ち上がれないくらいに叩きのめさないといけない。
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さて、その上で我々はどうするのか?
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