おはようございます。
Shortmanです。
嫌な予感がするので、軽く触れておく。
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さて、コロナウイルスの影響が相当数字にも出ていますが、頭の片隅に留めておいて欲しい情報があります。
危機管理に関して米国はとても優れていますが、実は昨日、アメリカ大使館から在日米国人向けに帰国を検討する注意喚起がなされました。
https://jp.usembassy.gov/health-alert-us-embassy-tokyo-april3-2020/
① 米国民は即帰国すべき
“Japan is experiencing a significant increase in COVID-19 cases. Over the past 72 hours, more than 650 individuals across the country have tested positive, an increase of approximately 200 cases per day. On April 2, Japan saw the largest increase in cases since the outbreak of the virus. A growing number of medical and political leaders across the country are expressing concern that a surge in cases is imminent. The U.S. Embassy Chargé d’Affaires Joe Young issued a video message April 2 to U.S. citizens in Japan in light of the global spread of COVID-19.
If U.S. citizens wish to return to the United States, they should make arrangements to do so now. U.S. citizens who live in the United States but are currently in Japan should arrange for immediate return to the United States, unless they are prepared to remain abroad for an indefinite period.”
要約すると以下のような感じ。
この3日間で650人以上の感染者が増えた。1日当たりほぼ200人の増加となる。日本国内で新型コロナウイルス感染者急増の恐れがあると日本の政治家や医療関係者が述べている。
帰国を望む米国民は即時に帰国に向けた用意を整えるべきだし、日本に滞在する米国民は即時の帰国を検討するか、もしくは不確定期間にわたり米国外に滞在する準備をしてくださいと。
② 日本の医療制度が崩壊する可能性がある
“As compared to the number of positive cases and hospitalizations in the United States and Europe, the number of reported COVID-19 cases in Japan remains relatively low. The Japanese Government’s decision to not test broadly makes it difficult to accurately assess the COVID-19 prevalence rate. Our diplomatic mission is in touch with the U.S. Centers for Disease Control and Prevention in Atlanta and continues to carefully monitor the capacity of Japan’s health care system in Tokyo as well as other locations including Osaka, Nagoya, Fukuoka, Sapporo, and Naha. While we have confidence in Japan’s health care system today, we believe a significant increase in COVID-19 cases makes it difficult to predict how the system will be functioning in the coming weeks. In the event of a spike in cases, U.S. citizens with pre-existing medical conditions may not be able to receive the medical care they have grown accustomed to in Japan prior to the COVID-19 pandemic.”
欧米と比較して日本で報告されている感染者数が少ないままで、大規模な新型コロナ検査を実施しないという日本政府の決定によって、新型コロナ感染者を正確に把握することが困難になっている
アトランタの疾病予防管理センターと連絡を取りながら、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、那覇などの日本の医療制度の能力を注意深く監視し続けていますが、感染症例の大幅な増加の結果、今後数週間で日本の医療制度が機能するか判断できないので、今後、感染症例が急増した場合、既往症のある米国民がウイルスの感染者が急増する前までの日本の医療サービスを受けられない可能性があると。
米穀大使館から在日米国民へのメッセージから考えると以下のようなことが推測されます。
① 今後日本の感染者数が爆発的に増加する。
② 日本の病院がパンクして機能しなくなる(医療制度崩壊)
③ 早ければ来週中には、日本政府により非常事態宣言ないしはロックダウンがなされそうな気がしています。
ということで、以下、注意しておいてください。
スタッフの皆さんで、高齢者が同居する家庭や自身や家族に病気の既往症がある人は、決して油断せずに、様々なケースを想定して準備をしておいてください。
「備えあれば患いなし」
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さて、コロナウイルスの影響で全世界の経済活動が停滞し始めています。
今回のコロナウイルスによる全世界的なショックを事前に予想することができたでしょうか?
ダウ週足
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このダウ平均(週足)のチャートを見ると、Taleb’s Turkeyを思い出しますね。
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出所: Business Inside, NASSIM TALEB: Consider The Thanksgiving Turkey…
このタレブの七面鳥の話はまさに今回のコロナウイルスのケースを表している。
Bloomberg, 【書評】「ブラック・スワン」タレブ氏が説く、混乱は味方だ
『「七面鳥に肉屋が1000日にわたって餌をやれば、アナリストらは統計に基づき、肉屋が七面鳥を大事にしているという確信を日を追って強める」が、「この餌やりが感謝祭の2、3日前まで続いたところで、七面鳥には実に気の毒な日がやってくる」。』
株価が何年もの間上がり続けてきたが、その間に投資家は「昨日も上がったから明日も上がるだろう」という期待を形成してしまってきた。
しかし、今回はコロナウイルスのせいで一瞬にして株価が暴落した。
前々から金融、特にデリバティブズは経済的な出来事が確率正規分布に従うという何の根拠もない理屈に基づいて取引されている。
今回のコロナウイルスも似ている。
今日まで無事に生きてこれたのだから明日も大丈夫だろう・・・
しかし、志村けんがコロナウイルスに感染して一瞬で死んだ事実を思い出せば、そんな保証はないことはわかるはずだ。
そう、このような出来事は『Black Swan』という。
少し古いですが、2017年5月10日の為替日報から。
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この言葉をご存知でしょうか?
『Black Swan』
賢明なる毒者の皆様なら当然ご存知だとは思いますが、一応念のため書いておきます。
i-Financeによれば、Black Swan(ブラックスワン)は以下のように説明されております。
「ブラック・スワンは、マーケット(市場)において、事前にほとんど予想できず、起きた時の衝撃が大きい事象のことをいいます。
また、認識論学者で元ヘッジファンド運用者としての経験を持つナシーム・ニコラス・タレブ(Nassim NicholasTaleb)が、2006年に刊行した著書「ブラック・スワン(The Black Swan)」で説明している考え方を「ブラック・スワン理論(Black swan theory)」と言います。
この理論は、従来、全ての白鳥が白色と信じられていたのが、オーストラリアで黒い白鳥が発見されたことにより、鳥類学者の常識が大きく崩れることになった出来事から名付けられ、確率論や従来からの知識や経験からでは予測できない極端な現象(事象)が発生し、その事象が人々に多大な影響を与えることを総称したものとなっています。
なお、ヘッジファンド運用会社の中には、ブラック・スワン理論に基づいた投資戦略を持つファンドを運用しているところもあります。」(太字はShortman)
金融関係するブラック・スワン的な大イベントは簡単にこんな感じです。
1987年10月19日 世界的な株価大暴落(ブラックマンデー)
1980年代・1990年代前半のS&L危機
1973年・1979年のオイルショック
1997年アジア金融危機
2001年9月11日 米国同時テロ
2009年9月5日リーマン・ショック
2011年3月11日東北・東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故
こういう事象が生じる確率を事前に計算することは難しい。
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今回のコロナウイルスはまさに予測不可能であった。
2017年5月15日にはこんなことも書いてある。
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週末の大学院での講義や、リアルタイム・セミナーでも話しましたが、経済的なショックというか、暴落というのは、想定していないような、つまり確率では計算できていないような事象が起きた時に生じる。そういう起こり得ないことが起きるのは、正規分布の両側合わせて5%で起こることで、そういう想定外の事象に注意が必要だと話しました(恐らく大学院生や毒者の方々は理解できていなかったと思うので、図を貼っておきます)。この時は5%として話をしましたが、信頼区間を3σにすれば、両側0.2%で起きることになるので、より想定外の事象と言えるかも知れません(そもそも、株価暴落を誘因するような経済的なショックは、実は正規分布にしたがっている訳では無いので、そもそもの両側の5%(0.2%)で起こる事象ではないのかなと思います)。
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でも、理解を簡単にするために正規分布に従うと仮定すると、Black Swanと呼ばれるような経済的なショックは、上の確率正規分布表で言えば、±2σの外側(つまり、95%信頼区間の外)で起きるような予測不可能な出来事(≒Black Swan)ということになります。そうすると、今後は特に、北朝鮮情勢やトランプ大統領のコミーFBI長官解任劇(≒ロシアゲート事件)には注意しておいた方が良いと話したばかりだった。
ついでに言うと、デリバティブズの代表的なブラック・ショールズモデルも、基本的には価格の変化率の分布が正規分布に従うという仮定を置いているが、正規分布に従う理由は無い。オプションの価格メカニズムを数式的に定義した功績はとてつもなく大きいが、正規分布に従っていない経済的なショックと正規分布に従わない金融商品の価格変化では、そのままでは非現実的なモデルかも知れない。
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(ΦωΦ)フフフ…
FRBや各国中銀の量的緩和や低金利政策のおかげで、リーマンショックを克服して株価は何年もの間上がり続けてきた。
その結果投資家は「昨日も上がったから明日も上がるだろう」という期待を抱き、今回のコロナウイルス危機で大打撃を受けている。
「街灯の下で鍵を探す」( (ある公園の街灯の下で、何かを探している男がいた。そこに通りかかった人が、その男に「何を探しているのか」と尋ねた。すると、その男は、「家の鍵を失くしたので探している」と言った。通りかかりの人は、それを気の毒に思って、しばらく一緒に探したが、鍵は見つからなかった。そこで、通りかかりの人は、男に「本当にここで鍵を失くしたのか」と訊いた。すると、男は、平然としてこう応えた。「いや、鍵を失くしたのは、あっちの暗いほうなんですが、あそこは暗くて何も見えないから、光の当たっているこっちを探しているんです」) )の話に似ている。
「株価は昨日まで上昇していたから」というのは街灯の下に過ぎない。
過去の値動きは街灯の下だ。
街灯が照らさないところを見つける力がとても重要な訳だ。
2020年3月30日週のドル円概況:
トランプ大統領とロシアのプーチン大統領が電話会談を行うとの報道や、中国の製造業PMIが予想よりも強かったことから、年度末・月末を迎える3月31日にドル円は週間高値となる108.72円まで上昇した。しかし、その後は新型コロナウィルスの感染拡大、特に、東京ロックダウン懸念の高まっていること、FRBによる海外中銀へのドル資金供給措置の発表によるドル安圧力が強まる中、翌1日にはトランプ大統領が、新型コロナウイルスによる米国での死者が2 週間で急増すると警告したことから、ドル円は週間安値となる106.89まで下落した。反落しました。その後はトランプ大統領がロシアとサウジアラビアの協調減産の可能性を示唆したこともあり、原油価格の下げ止まりからやや値を戻してこの週の取引を終えている。
2020年3月30日週の予想レンジ:
100.50円~108.00円
2020年3月30日週の実際のドル円:
106.89円~108.72円
2020年4月6日週のドル円予想:
FRBによる無制限・無期限の量的緩和のおかげで逼迫したドル需要は緩和傾向にある中(ドル安要因)、コロナウイルスの感染拡大リスクが高まる中(ドル安要因)、東京のロックダウンが懸念されている(円買い要因)。さらにはコロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の後退が深刻化しつつあり(ドル安要因)、ドルが積極的に買われる要因はほとんどない。今週のドル円はNY株価に連動する動きになると思われるが、上値は重そうだ。
2020年4月6日週の予想レンジ:
105.50円~109.00円
定点観測:
ダウとドル円
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ドル円と米2年債券利回り
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ドル・インデックスと米10年債利回り
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VIX
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金価格
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原油価格
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Shortman’s View:
耳触りの良いニュースがある。
とうとうワクチンが出来るのか・・・
CNN, 米J&J、新型コロナのワクチン 「来年早々」にも供給へ
ロイター, , 米大、新型コロナワクチンの効果確認 数カ月で臨床試験
そんな簡単な話ではなかろうもん。
人類はかつて(そして恐らく今も)、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に対して膨大な金額と時間、優秀な頭脳を費やしてワクチンを開発しようとしてきた。
にもかかわらず、未だにHIVに対するワクチンが開発されていないこの状況で本当に開発できるのであろうか?
個人的な予想は・・・
Bloomberg, 新型コロナワクチン、1年半で完成するのか-期待先行を専門家は警告
これに近いかな。
これもまた亀のみぞ知るだけど。
最後に、
コロナウイルスの影響が身の回りでも生じております。レポートを書くことができない日も生じております。4月はレポートの執筆が不規則になりますので、予めご了承下さい。
宜しくお願い申し上げます。
Good Duck!
Shortman