おはようございます。
Shortmanです。
28日(金)に米商務省が公表したPCEデフレーターは、前月比0.6%の上昇となり、市場予想と一致。前年同月比では3.6%の上昇となった。価格の変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレーターは、前月比0.7%上昇となり市場予想より強く、2001年10月以来の大きな上昇率を記録、前年同月比では3.1%の上昇を記録し、1992年7月以来の大きな伸びを記録した。
PCEコアが予想よりも大きく動いたことで、パウエルFRB議長を筆頭にインフレは一時的と言い続けるFRB高官達が、今後の展開をどう修正するのか注目が集まる。
インフレ期待の高まりに対処すべく、テーパリングの議論を開始すべきと言う意見もある。
Bloomberg, 米連邦準備制度のテーパリング議論はインフレ期待上昇への先制攻撃
トレーダーはデーパリングの手掛かりを現実のマーケットの中に見つけようと躍起だ。
Bloomberg, 債券トレーダー、テーパリングの手掛かり求め雇用統計と短期市場注視
次回のFOMC(米連邦公開市場委員会)は6月の15日・16日で開催される。テーパリングに関する議論が開始されるか否かの議論が開始される可能性はあるが、市場は毎年恒例のカンザス連銀主催の8月のジャクソンホールでの年次シンポジウムで、テーパリングが示唆されるのではないかというのが市場のコンセンサスだ。
米財政赤字の拡大と増税の実行可能性の低下が、インフレ率及びインフレ期待の上昇に結び付くと考えているので、8月のシンポジウムでテーパリングの議論を開始したところで、それまでに米国が赤字削減の努力とそれに対する処方箋、つまり、増税の道のりが示されなれば、インフレ期待の高まりをコントロールできなくなる可能性があるとかないとか…噂か!(笑)
今後の展開から目が離せない。
2021年5月24日週のドル円概況:
28日(金)にFRBが金融政策の判断に用いるインフレ指数であるPCEデフレーターの公表を控え、前半は経済指標の強弱に合わせて上下する展開。25日(火)に週間安値となる108.55円をマーク。その後はバイデン大統領の6兆ドルの予算案が示されるとの報道から徐々に値を上げ、28日(金)にPCEデフレーターが公表され、前月比0.6%の上昇となり、市場予想と一致。前年同月比では3.6%の上昇となった。価格の変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレーターは、前月比0.7%上昇となり市場予想より強く、2001年10月以来の大きな上昇率を記録、前年同月比では3.1%の上昇を記録し、1992年7月以来の大きな伸びを記録し、ドル円は週間高値となる110.16円まで上昇した。しかし、米長期債利回りは低下しており、市場は既に織込み済であったかもしれない。
2021年5月24日週の予想レンジ:
107.50円~109.50円
2021年5月24日週の実際のドル円:
108.55円~110.16円
2021年5月31日週のドル円予想:
週末のPCEコア・デフレーターが予想よりも大幅に強かったことから、バイデン大統領の6兆円の予算案もあり、インフレ抑制に向けた早期テーパリング期待が再び高まる可能性がある。米長期債利回りの上昇や、バイデン大統領の増税案を嫌気してNY株が下落する可能性もあり、111円を超えて大きく上昇するのは難しい。また、4日(金)に公表予定の5月の米雇用統計に注意しておきたい。
2021年5月31日週の予想レンジ:
108.50円~110.80円
定点観測:
ダウとドル円
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ドル円と米10年債利回り
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ドル・インデックスと米10年債利回り
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VIX
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金価格
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原油価格
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Shortman’s View:
三菱の内田さんのレポートが出ています。
年末は105円とちょっと先の予想ですが、参考までに読んでおきましょう。
ロイター, コラム:米金融正常化によるドル高は不発、年末は105円か=内田稔氏
『金融政策の正常化は、米国経済の相対的な強さを表し、ドル金利の上昇も見込まれ、外為市場ではドル高要因と受け止められている。実際、今年に入り、ドルの名目実効相場(BISのBroadベース)は、長期金利の上昇とともに最大で約3.3%上昇した。
しかし、4月に入り、長期金利の上昇が一服するとドルは失速し、年初の水準まで反落した。この間、長期金利は上昇こそ一服したが、それでも年初より0.7%程度も高い。このことから、ドルの反落は、金融政策が正常化へ進んでも、実際にはそれほどドル高が進まないばかりか、緩やかながらも下落トレンドに入る可能性を示唆していると指摘したい。』
この辺の議論はおおよそ毒者の皆様には理解してもらえていると思います。
そして、内田氏は米国の貿易赤字、米長期金利が2.0%を超えるハードルが高いこと、趨勢的に低下し続ける米金利、米経常赤字のことに触れ、ドル高・円安は難しいと判断しているようだ。
『こうしてみると、米国の金融政策の正常化が進む場合でも、ここまで上昇した株式相場と共存できる長期金利の水準は、あまり高くないようだ。それだけに経常赤字と財政赤字が拡大しつつあるドルが持続的に上昇するシナリオも描きにくく、緩やかな下落が見込まれる。もう少し利上げを織り込み、2年債といった利回りが上昇すれば、多少はドルも強含むだろう。
ただ、利上げのピークがすう勢的に低下してきた点を考慮すれば、それもあまり大きな動きとはならないだろう。米国の金利があまり上昇しなければ、少なくとも年内はある程度のリスク選好地合いが続くとみることができる。
ドル安と円安により、クロス円ではもう少し円安が進むかも知れない。もっとも、ドル安相場であればドル/円は下落することの方が多い。今年に関して言えば、緩やかなドル安相場を見込む以上、ドル/円も年末に向けて105円程度までは想定しておく必要がありそうだ。』
ということで年末に向けて下落すると睨んでいるようだ(^_-)
Good Duck!
Shortman