おはようございます。
Shortmanです。
失われた30年を通り越して、40年に近づきつつある日本。
東大出身のエリートがそろう財務省と日銀があれこれやってみるものの、全く迷路を抜け出せないでいます。
先進国でありながらIMF(国際通貨基金)に一言言われたようです。
IMF, 対日2022年4条協議訪問 終了にあたっての職員の声明2022年1月27日
財政政策
回復が本格化した際には、財政バッファーを徐々に再構築し、中長期的な債務持続可能性を確保することが重要となる。パンデミック下における異例の財政支援とGDPの急激な落ち込みによって、債務残高の対GDP比は2019年の236%から2021年には259%へと上昇した。債務の借り換えと発行のリスクは、豊富な国内貯蓄とホームバイアス、外貨建て債務を含まない債務構成を背景として、短期的には抑えられている。しかし、中長期的には人口動態のトレンドが重くのしかかり、債務持続可能性のリスクは高まる。中期的な財政健全化は、公的債務を下降軌道に乗せ、将来のショックに対応する能力を高めることを目的とすべきである。
持続可能な財政ポジションへの移行は、短期的な安定化と中期的な財政の持続可能性との間でバランスの取れた財政枠組みに基づく必要がある。その枠組みは、以下のようなものであるべきである。
• 十分に具体化されていること。健全化戦略は、十分に具体化された財政措置によって裏付けされるべきである。枠組みは、大きな下振れリスクが顕在化した場合に発動されるコンティンジェントプランを含めうる。
• 保守的な予測に基づいていること。財政計画の信頼性を守るために、その基礎となるマクロ財政予測は慎重かつバランスのとれたものでなければならない。最初のステップとして、既存のベースラインシナリオと高成長シナリオに下振れシナリオを追加すれば、ベースラインを中心に据えて政策を議論することに役立つだろう。独立財政機関によって行われた予測は、枠組みの信頼性を高めうる。
• 成長の勢いを持続すること。財政健全化は経済状況を勘案し、民間需要の拡大につながる措置によって裏付けられるべきである。当局は、財政健全化と、下方ショックの際に財政支援を提供する必要性また成長の勢いを維持する必要性を比較しつつ、2025年度の財政目標に向けた進捗を引き続き評価すべきである。
• 予見可能であること。大型の補正予算が頻繁に編成され、当初予算からの歳出の上方修正につながっている。一般的に、補正予算による追加支出は、パンデミックのような予想外の大規模なショックへの対応に限定されるべきである。
財政健全化には、予算の歳出側と歳入側の双方における政策イニシアティブが必要となる。歳出側では、高齢化と新技術の利用に伴って、医療・介護支出が長期的に拡大すると予測されている。後発医薬品の使用促進や公的保険の対象となるサービスの範囲の縮小、入院期間の短縮によって効率性を向上させる余地がある。貧困層を除く高齢者の自己負担割合も引き上げる必要がある。高齢者の自己負担を引き上げるという政府の決定は正しい方向に向けた一歩だが、対象の絞り込みについて改善する余地がある。
歳入側では、対GDP比で見た日本の税収はG7諸国に比べて低く、さらなる歳入確保を図る余地があることを示している。検討の対象となりうる選択肢には、消費税の標準税率の引き上げや、住宅用地に係る優遇措置の廃止を通じた資産課税の強化、個人所得税制における所得控除の合理化、資本所得税率の引き上げが含まれる。分配面での負の影響を軽減するために、より適切に脆弱な世帯に的を絞ることを含めた補完的な措置が必要となりうる。この文脈において、マイナンバー制度や他のデジタル化措置を活用しつつタイムリーに世帯を特定し、手を差し伸べるために、政府間の情報の流れを支援することが不可欠である。
金融政策と金融セクター政策
長期にわたる金融緩和を維持するという日本銀行のコミットメントは、引き続き適切である。現行の金融政策枠組み(「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」)は、2016年9月に導入されて以来、金融環境の緩和と金融緩和の持続可能性の強化に貢献してきたが、2%の物価目標は未だ達成されていない。IMF職員は、インフレ期待と物価上昇率を持続的に目標へ引き上げていくには、長期にわたる金融緩和政策と柔軟な財政政策、そして包摂的な成長を志向する改革が必要になると見ている。
2021年3月に日本銀行が行った点検を受けて実施された金融政策枠組みの調整は、金融支援の持続可能性を高めることに資するが、それを土台に、さらなる措置を検討することができるだろう。利回り目標を10年物からより短い満期にシフトさせてイールドカーブをスティープ化することがひとつの選択肢となりうる。それは、経済活動にとって最も重要な短中期債の利回りを依然として低く抑えつつ、長期化する金融緩和が金融機関の収益性に与える影響を軽減することに役立ちうる。市場が金融緩和の撤回と認識するのを避けるためには、慎重な実施とコミュニケーションが必要になるだろう。
基調的な物価上昇の勢いが弱いまま推移する場合には、政策金利の引き下げが第一の選択肢となるべきである。加えて、マイナス金利が適用されるのは、日銀の3層構造の下で、銀行の準備預金の比較的小さい部分であり、その部分を拡大すればマイナス政策金利の短期金融市場と預金金利、とりわけ企業の預金金利への波及を強化することに貢献しうる。注意深くカリブレートされれば、これは、短期金融市場の円滑な機能を維持し、民間投資を拡大する助けとなり、ひいては中期的な財政健全化を容易にしうる。
コミュニケーションを強化するために、更にできることがある。政策金利を物価安定目標にリンクさせて長期間にわたる緩和的な金融政策の維持にコミットすることは、イールドカーブ・コントロールを強化し、家計に対してより多くの支出を今日行うよう促す助けとなる。同様に、オーバーシュート型コミットメントをマネタリーベースから切り離すことにより、コミュニケーションを簡略化しうる。
パンデミックは、とりわけ銀行システムの40%を占める地方銀行にとって、高齢化と人口減少に伴う低収益性に起因する長期的な財務の脆弱性に拍車をかける可能性がある。この課題に対処するために、合併や経費削減に関する日本銀行の特別当座預金制度や、合併や経営統合のための補助金、独占禁止法の適用除外、事業多様化を支援するための銀行法改正など、幾つもの歓迎すべき措置が講じられている。
低金利の長期化を背景に、マクロ金融リスクが生じるおそれがある。金融庁は、早期警戒制度を利用して、地方銀行がビジネスモデルを更新し、ITやフィンテックをより良く活用し、また再編するよう引き続き促すべきである。金融庁は最近の銀行法改正で認められたものを含む新たな事業分野における銀行のリスク管理と能力に関して、引き続き監視を行い、必要に応じて監督を一層強化すべきである。日本銀行と金融庁による潜在的リスクのシステム全体への影響に関する緊密な連携と意見交換は歓迎すべきイニシアティブである。金融庁は、日本銀行と緊密に連携し、引き続きシステミックリスク評価の範囲を拡大し、リスクが顕在化した場合に対処するためのマクロプルーデンス政策ツールキットを強化すべきである。
長いのでロイターさんので要点を。
ロイター, IMF、緩和持続へ日銀に政策修正を提言「利回り目標を短期の金利に」
『 国際通貨基金(IMF)は28日、日本経済を分析した年次報告書を公表し、長期金利(10年債利回り)をゼロ%程度に誘導する現行の金融政策について、より短期的な金利を対象にするのが望ましいと指摘した。緩和政策の長期化が見込まれる中、持続性を高めるための措置として提案している。消費増税や資産課税強化など、財政健全化を実現するための具体的な増税案の必要性にも言及した。』
あちゃー!
まぁ、黒田君だしな。
IMFから物価2%の達成目標に関して、だらだらやっても何の効果も無いし、むしろ負の効果しかないから年限の短期化をしたらと(プププ笑)
その黒田君、恐らくは「IMFごときに言われなくてもわかってるわい。それができたら既にやってるわい。」と思っていることでしょう(と勝手に私が想像しています)。
Bloomberg, 日銀総裁が長期金利目標の年限短期化に慎重姿勢、出口では選択肢
『総裁は、年限の短期化について「低位にくぎ付けているイールドカーブを引き上げる、あるいはスティープ化させるということだと思う」との見方を示し、そうした対応は将来的に2%の物価安定目標が達成される場合の議論であり、現段階では時期尚早と述べた。
現在の金融市場調節目標となっている10年国債金利のゼロ%程度を目指して国債買い入れを行うことは「全体としてイールドカーブを低位に維持するという意味で、現時点では適切な政策である」とも指摘。マイナス0.1%に設定されている短期の政策金利を含めて「今のイールドカーブコントロールが適切と考えている」と語った。』
はいはい。
ミスは指摘されるのも嫌だし、修正なんてミスを認めるのと同じだからできない…そんな感じでしょうか笑
全てが戦後のシステムのままで制度疲労を起こしている。
デフレにしても、少子高齢化にしても、ガラパコス化にしても、社会・経済・政治・産業・労働・教育などすべての日本の制度(システム)が進化していないことが原因。
それを破壊するような、例えばトランプ前アメリカ合衆国第45代大統領のような方が出てこないといけない訳です。
それは優柔不断で中韓に何故か媚びを売る弱腰外交で、全て朝礼暮改な岸田君には999%無理なことでしょうし、そんな彼は黒田君の首を切ることもできない・
Ω\ζ°)チーン
2022年1月24日週の概況:
ドル円は週初24日(月)に113.46円まで下落したが、26日のFOMC声明でタカ派的な内容が確認されドル買戻しに。米10-12月期GDP(速報値)が予想よりも強かったこともあり27日(木)には115.58円の週間高値となる水準まで上昇した。
※参考までに1月27日為替日報から一部抜粋。
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昨日は注目のFOMCでしたので、朝の4時から5時までパウエルFRB議長の記者会見(オンライン)まで見てしまいました。





ようやく金融政策に動きが出ました。
いつものように前回との比較。
前回12月15日
“With inflation having exceeded 2 percent for some time, the Committee expects it will be appropriate to maintain this target range until labor market conditions have reached levels consistent with the Committee’s assessments of maximum employment. In light of inflation developments and the further improvement in the labor market, the Committee decided to reduce the monthly pace of its net asset purchases by $20 billion for Treasury securities and $10 billion for agency mortgage-backed securities. Beginning in January, the Committee will increase its holdings of Treasury securities by at least $40 billion per month and of agency mortgage‑backed securities by at least $20 billion per month. The Committee judges that similar reductions in the pace of net asset purchases will likely be appropriate each month, but it is prepared to adjust the pace of purchases if warranted by changes in the economic outlook.
(インフレ率がしばらくの間、2%を超えているため、委員会は労働市場の状況が委員会の最大雇用の評価に一致する水準に達するまで、この目標誘導レンジを維持することが適切と予想する。インフレ率の進展と労働市場の一段の改善を考慮し、委員会は純資産購入のペースを毎月、米国債で200億ドル、およびエージェンシーローン担保証券で100億ドル縮小することを決めた。(来年)1月から、委員会は米国債の保有を少なくとも月400億ドル、およびエージェンシーローン担保証券の保有を少なくとも月200億ドル増やす。委員会は、純資産購入のペースを毎月同様に縮小することが適切だと判断するが、経済見通しの変化によって正当化される場合は、購入ペースを調整する用意がある。)”
今回
“With inflation well above 2 percent and a strong labor market, the Committee expects it will soon be appropriate to raise the target range for the federal funds rate. The Committee decided to continue to reduce the monthly pace of its net asset purchases, bringing them to an end in early March. Beginning in February, the Committee will increase its holdings of Treasury securities by at least $20 billion per month and of agency mortgage‑backed securities by at least $10 billion per month.
(インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場が堅調であることから、委員会はFF金利の目標誘導レンジの引き上げが間もなく適切になると予想する。委員会は純資産購入のペースを引き続き毎月縮小し、3月初旬に終了することに決めた。2月から、委員会は米国債の保有を少なくとも月200億ドル、およびエージェンシーローン担保証券の保有を少なくとも月100億ドル増やす。)”
The Committee decided to continue to reduce the monthly pace of its net asset purchases, bringing them to an end in early March.
(「純資産購入のペースを引き続き毎月縮小し、3月初旬に終了」)。
バブルの元凶が終わりますね。
パウエルFRB議長はインフレで苦しむ庶民を救うのか(引締め)、それとも引締めで暴落するであろう株価を再度引き上げるのか(緩和)、その両方は800%無理!!!
まだ決まった訳ではありませんが、過去のFRBの動きを参考にしておきます。
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出所: Zerohedge, Watch Live: Chair Powell Explains Just How Dovishly-Hawkish The Fed Is
何度も書いていますが、FRBのデュアルマンデートの片方「雇用の最大化」なんてのは株価最大化のために庶民を騙すための大義名分ですから。
しかし、庶民の味方の振りも大事なので、パウエルFRB議長は記者会見で3月の利上げを示唆した。
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2022年1月24日週の事前予想レンジ:
112.00円~115.00円
2022年1月24日週の実際のドル円:
113.46円~115.48円
2022年1月31日週のドル円予想:
NY株式市場も月末の買戻しで値を戻したが、来週は引き続き利上げの影響を懸念してNY株式市場の上値は重いと予想している。したがってドルの上値も重く、ドル円は動きも上値が鈍いと予想。
2022年1月31日週の予想レンジ:
113.00円~116.00円
定点観測:
ダウとドル円
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ドル円と米2年債利回り
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ドル・インデックスと米10年債利回り
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VIX
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金価格
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原油価格
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Shortman’s View:
このままインフレが高くなり、景気後退が始まれば、それはスタグフレーションという。
『景気が停滞しているにもかかわらず、インフレーションが続くこと。不況(Stagnation)と インフレーション(Inflation)の合成語。通常、景気が停滞すると、消費者の需要が落ち込み、物価は落ち着くといわれているが、1970年代、第一次石油ショック後、主要先進国にて金融引き締め政策をとった際、景気が沈静化しても、物価の状況には変化が生じないケースがみられた。』
GDP低下(需要・生産減少)、失業率上昇(雇用減)、インフレ上昇、景気後退
OMG!
最悪じゃん!!
オイルショックの時は赤子だったので、スタグフレーションのイメージが湧かない。
そんな未体験ゾーンに突入か!?
亀のみぞ知る…
Good Duck!
Shortman